ハートの海賊団中心短編集【ONEPIECE】 (ページ33)

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｢もう、何なの…｣
｢とりあえず、船にいてもいいって事だと思うぜ｣

クスクス笑いながらシャチがAの頭を撫でる。
落ち着いたらコレ綺麗に整えてやるよと、ひと房摘んだ髪をパラパラと落とし、さあ飯だ飯、お前らも早く来いよと言って腰を上げ扉へと向かって行った。

隣にいたペンギンもよっこいせと立ち上がり、んっとAに向かって手を差し出す。
ありがとうと言ってその手を掴み、Aも立ち上がりペンギンと向かい合った。

じゃあこれ戻すなと言われて、ぽっかりと穴の空いた部分へと心臓がはめこまれ、ふにっ…と大きな手が触れた。

｢…ごめん｣
｢そう思うなら揉まないで手を離して欲しいんだけど｣

はははごめんと笑いながらまた数回揉むもんだから、Aは思いっきりペンギンの足を踏んでやった。
痛みにふるふる震えた後に、ジッと見つめられて何？とAは首を傾げれば今度は大きな手がするりと頬を撫ぜ、その手は顔横の髪を耳に掛けた。

｢もったいないな｣
｢なんで？｣
｢髪は女の命って言うじゃん｣

そう言ってまだ頬にある手の親指が、すりすりと目元を拭う。
ああそんなこと…ただ何となく伸ばしてただけだから何とも思わないし、スッキリしたからいいわとAが言えば、そう…とペンギンはホッとしたような感じで口元が笑みを作り、今度は耳をすりすりと擦った。

なんだかその擽ったいような感覚にいたたまれなくなったAが顔を反らせば、面白がってかまた何度も耳を擦られる。
擽ったくて思わずんっと漏らしてしまった声に羞恥心がむくむくと膨れ上がったAは、顔を真っ赤にし口を押さえ、耳を擦るペンギンの腕を掴んだ。

｢っみんな、行っちゃったよ！あなたも入らなくていいの！？｣

Aがそう言えば、んー、そうだなと言って掴んだ腕を逆に取られて、手の甲へと口付けが落とされた。
ひゃ、何ッ！？と驚くAの手を握ったまま、ペンギンはにんまりとして歩き出した。