ハートの海賊団中心短編集【ONEPIECE】 (ページ32)

今日:6 hit、昨日:10 hit、合計:20,757 hit

▸▸▸‣ ページ32

シンとしたところで、Aは自分に起こった事を話した。
うっうと嗚咽を漏らすAをベポが脚の間に抱えて、ふわふわな手でポンポンと腹の辺りを優しく叩いてあやす。

｢はぁー、不思議だな｣
｢お前の住んでたとこはどこ？ノースブルー？イースト？はたまたグランドラインか？｣
｢どこそれ…。私は日本ってところにいたの｣

ぽぽぽと皆の頭にクエスチョンマークが咲く。
英語で言うとジャパン、他にはジャポン、ヤーポンなど…と言っても首を傾げられてAは日本を知らないとか何処の辺境地の人達なの…と思う。

｢異界人…｣

突然ローがポツリと呟いて、皆そちらに視線を向けた。

｢何かの拍子や力が働いた際に、気付けば自分がいる世界とは違う世界へと飛ばされている。そのような人を異界人、または異世界人という｣

そんな一文が書かれた本を読んだことがある。
お前はそれに当てはまるんじゃないかとAはローに言われた。
それを聞いてAはハッと思い当たることがあった。
以前マンガやアニメが好きな友人が、今は異世界トリップや物語の人物に憑依するといったものが流行っているのだと嬉々として話していた。
いやでもそれは二次元での話であって、現実の自分に起こるだなんて…。
でも知らない地名ばかりだし、真剣など本物の武器を扱う海賊だというし、白熊は立って歩くし服着てしかも喋るし、ローという男は変な力を使ってるし…本当に異世界なのかとAは悶々と考える。

｢まずは飯食うぞ。話はそれからだ｣

うんうん唸るAを見てローはそう言って立ち上がり、戻しておけとペンギンへ持っていた心臓を放り投げて扉の方へと向かっていく。

｢ちょ、人の心臓雑に扱わないでっ｣
｢あ、待ってよキャプテン！｣

ヒドイ！とAが思ったと同時に背後のベポが立ち上がり、急に背もたれの無くなったAは後ろへ倒れ、ゴンッと頭を打ち付けてまたヒドイ…と声を漏らした。