ハートの海賊団中心短編集【ONEPIECE】 (ページ31)

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ダンッと音を立ててベポが床に倒れ込み、おおーとシャチとペンギンから拍手が湧く。
だが、これは試合などではないのでこれで終わりな訳がなかった。
シュッと足が横からやってきて、慌てて身を屈める。
その際に頭を少し掠り、髪を纏めていた髪紐が解けてしまう。
風に煽られて顔に張り付き視界が悪くなり、迫ってきた手を避けたけれどぽぷりと肩が押されてよろめきAは尻もちをついた。

｢ああもう、鬱陶しい！｣

いまだ風に煽られる髪をバッと一つに纏めて、視界に入った刀を奪い取りザクリと髪を切り落とした。

｢うわぁ大胆｣
｢感心する前に武器を奪われんなよ｣

そんな二人をそっちのけで、刀を持ったままAはベポへと向かう。
もう本当にヤッてしまおうか…だなんて思って目を凄ませれば、わあ待って待ってと焦るベポ。
まぁ真剣で人を切りつけるなどそんな恐ろしいこと出来るわけないと、ふと動きを止めようとした時だった。
“ROOM”と聞こえ、次に“シャンブルズ”と聞こえたときには、握っていた刀が林檎へと変わっていた。

｢何で刀が林檎に変わるのよっ｣

訳の分からない状況にAはやけくそになり、ブンッと林檎を放り投げた。
それはベポの顔面にクリーンヒットし痛そうに顔を押さえて蹲るものだから、わぁごめんね！とAはおろおろする。
ふっと自分に影がかかり近づいた気配の方に身体を向ければ、すぐ近くに見下ろしてくる高身長の男がいた。
だいぶ見上げないと見えない顔に、首が痛いと思っていればトスッと身体に走る衝撃。
なんだと思っていれば、スっと男の掲げられた手には教科書で見たことあるようなだけの身体の一部の内臓…。

心臓…？と首を傾げ、ふとAは自分の左胸を見下ろした。
そこはぽっかりと穴が空いていて、クラリと目眩がする。
自分の心臓を取られた？なのに生きている？血も出ていない。

｢もうっ、ホント訳がわからない！｣

何がどうなっているのかと、非日常すぎる出来事にAはへたり込んだ。
うっと苦しくなり男を見上げれば、心臓を握られている。

｢おれはトラファルガー・ロー。知ってて首を狙いに来たんじゃないのか？｣

能力者でもなさそうだし、どうやってここに来たと問われる。

｢私だって知りたい！気付いたらここにいたんだもの！｣

またやけくそになりそう叫べば、ぽろぽろと涙が溢れ出てきた。
なぜ涙が出てきたかA自身分からないが、それを見たトラファルガー・ローと名乗った男はうっ…と怯んだ。