ハートの海賊団中心短編集【ONEPIECE】 (ページ29)

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｢おいコラシャチ。お前の戦い方は荒いんだよ｣
｢はぁ？お前に言われたかねぇよペンギン｣

そこからポンポン帽の男…ペンギンと、キャスケット帽の男…シャチの言い争いが始まった。

｢あの…｣
｢｢あ、お前のこと忘れてた｣｣
｢なんでやねん｣

永遠続きそうな言い争いに思わずAが声を掛ければ、忘れられていたと言う事実に思わず突っ込んでしまった。
急に襲ってこられたと思えば急に忘れられる…なんなんだとイラッとしてしまい、しゃがみ込んだままの体勢で目の前にある脛に思いっきり薙刀の柄をぶつけてやった。

チャキッ…と、鼻の先に刀の先端が突き付けられて二人を見上げる。
目は口ほどに物を言う…だけど二人は目元が隠れていて読めない…が、彼らを纏う気は表情豊かだとAは思った。
先程は突き刺さってくる殺気で、言い争いをしているときはイライラしつつも楽しそうな気配、今はピリピリとした警戒の空気を纏っている。

｢その刀、真剣よね…あなたの槍の刃も本物。そんなもの持ってるって何処かの道場の人？それともヤクザか何か？というか銃刀法違反で捕まらないの？｣
｢ヤクザって何？おれたちは海賊。だから武器を持ってたっておかしくないでしょ｣
｢海賊…？｣

今時海賊なんている？とAは首を傾げる。
え、なに…海賊に憧れてる厨二病者の旅人かなにかなの？など、Aは混乱し頭を抱えてブツブツ言いだした。
そんなAの様子を見てシャチとペンギンは、敵じゃないのかと警戒心を解いた。

｢とりあえず立ちなよ｣

そう言われてペンギンが手を差し伸べてきた。
Aはちらちらとペンギンと差し出された手を何度か交互に見たあと、躊躇いがちに自身の手を乗せる。
その瞬間グッと引き上げられて、まだ立ち上がる準備の出来ていなかったAはよろけてペンギンの胸へと倒れ込んでしまい、そんなAをペンギンはふんわりと抱きとめた。

｢あ…あぁぁありがとうっ｣

体格差、身長差によりすっぽりと包み込まれてしまう感覚が恥ずかしくなり、グッと両手でペンギンの胸を押して離れる。
ざぁ～んねん…だなんて言って身体に回っていた腕が離されて、恥ずかしさを誤魔化すように足下に落ちている薙刀を拾ってギュッと握り込み、残念とはどういう事だとその言葉を頭の中で反芻させた。