ハートの海賊団中心短編集【ONEPIECE】 (ページ19)

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繋がれた手を持ち上げて甲へとそっと口付けを贈り、ジャラリと音を立てる手枷をするりと撫でた。

｢船に着いたらこれを外そうね｣

これを取り、島を出ればもう君は自由さとサンジが微笑めば、嬉しい…とAの頬が上気した。
そしてまた手を繋いだまま歩みを進めた。

お、帰ってきたぞーとウソップの声がして、こちらを見ている皆へとサンジは手を振りあれがおれが乗ってる船だと言えば、大きな船ねとAの声が弾んだ。

Aを抱えて甲板へと行こうと、ちょっと失礼するねと声を掛けて背と膝裏に手を添えて抱き上げた瞬間、小さくだが思わずフゴッと声が漏れてしまった。
想像していたより何倍も重かった…。
いやレディに対して重いとはなんて失礼なと思ったが、この細身のどこに何が詰まっているのだとサンジは目を白黒させた。

｢力持ちね、サンジさん｣
｢いやいや、これくらいなんともないよ｣

驚いたのか、さっと自身の首に腕が回されて近くなった距離にドキドキしつつ、重みに少しプルプルする腕だが何ともないという顔を取り繕う。
なんとか堪えて甲板へと上がった。

お帰りーとサンジとAのもとへと皆がわらわらと集まってきた。

｢あら、すごい美人じゃない｣
｢えっと、初めまして。こちらでお世話になることになりました、Aと申します｣

Aがそう挨拶をすれば各方面からよろしくなーなどと声が上がり、それぞれ自己紹介が始まった。
船長だというルフィのニカッと笑う顔を見た時、それだけで海賊船だとは思えない雰囲気だなと、とても恵まれた所に来たなとAは思った。

｢可哀想ね。ゾロ、これ外してやんなさい｣
｢なんでおれが…｣

Aの手と足の枷を見てナミがそう言い、なんでと言いながらもゾロはAの正面へとやってきた。
手を前に出せ、絶対に動くなよと言われてそれに従い両手を差し出せばゾロはチャキッと刀に手を添え、鉄の塊がそんなもので斬れるのかと驚く。

｢1mmでも傷つけやがったらミンチにするからな！｣
｢そんなヘマするかっ｣

そうサンジとゾロが言い合っている中で刀は抜刀され、キンッと音がして一瞬でAの枷は斬り落とされる。
その瞬間、ドゴォッと音を立てて手枷が甲板の芝生へとめり込んだ。
皆の視線はそれに集まりシンとする。
数秒の後、ハァ！？と声が上がった。