検索窓
今日:11 hit、昨日:29 hit、合計:11,712 hit

彼女の世界と力と哀しみと 2 ページ28

力を受け継いだ者は、自らの生命を真っ当するまでその使命から逃れられない。
キメラを葬りされる力はやはり優遇されるので、それを吉と捉える者が大半だが逆も然り、責任が重荷となり凶と捉える者もいる。

「これを見て」

そう言ってAはワンピースの細い肩紐をずらし、がばりと胸元を露にした。
アレンはうわぁぁ!!と悲鳴を上げ立ち上がり、止めようと手を伸ばしたがある一点を見てピタリと止まる。
まだ発展途上でありそうなふっくらとした二つの膨らみの中心。
そこには5cmほどのAの大事な本の表紙と同じ黄金の鳥が描かれており、その周りの皮膚はいくつもの切り傷や焼かれたような、抉られたような傷で引き攣っていた。

アレンがそこに見入っていると、伸ばしたままの手が捕まれAの胸元へと導かれた。
ひぃ!と情けない悲鳴を上げ目をつぶり、なんとか触れまいと曲げた指先にかつりと硬いものが触れる。
えっと思い目を開けて見える胸元の黄金の鳥は、タトゥーのように描かれたものではなく…硬い金属のようなものだった。

「これが私のソリタレオ。本と対なの。力を受け継いだ者は身体のどこかに…その力に寄生される」

寄生したソリタレオは、先ほど言ったように生命を真っ当するまで何をどうしても離れてはくれないのだという。
ぱっとアレンの手を離し、側に置いてあった本を手に取る。

「どうか私に力を。リブロ・ディ・マジーア、アプリーレ(本よ開け)」

本を発動させると同時に胸元の黄金の鳥が浮かび上がり、先ほど書庫で見せた杖へと変化する。

「…そこから、出てきてたんですね」

そう言ってAの手にある杖を見たあと、やましい気持ちはないがAの胸元へ視線を向ける。
黄金の鳥が抜けたそこには花模様が浮かび上がっていた。
そして今度はAの顔へと視線を向け、書庫で見たその紋様にそっと手を這わした。
擽ったさにAは肩をすぼめる。

「書庫で初めて見たとき、気になったんです」

あぁと彼女は納得して、頬にあるアレンの手に自分の手を重ねた。

「マニーヴルユマン(操り人)達はソリタレオを発動させると、こうやって身体のどこかに紋様が浮かび上がるの」

赤色だしアレンのペンタクルに似てるよね、お揃いだと言われた。
自身の呪いはそんなものじゃないが、彼女のそれはとても綺麗である。
でも確かにそんな紋様が浮かび上がれば、同じ顔がとことん自分に似てるなと思った。

※ここまでお読み頂きありがとうございます※→←彼女の世界と力と哀しみと



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
設定タグ:D.Gray-man , Dグレ , アレン・ウォーカー   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もふもふ子 | 作成日時:2022年8月7日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。