僕は…君に… 【D.Gray-man】 (ページ2)

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出会いは1冊の本より 2 ページ2

｢次乗り換えたら、やっと黒の教団に着く…｣

やっとだ…と、深い深い溜息をつく少年の名はアレン・ウォーカー。
エクソシストを名乗ることを許されたのち、金槌で殴られ意識を無くしてしまった間に姿をくらました師との突然の別れ。
それを思い出したら、もう治ったはずの殴られた部分がズキリと痛んだ気がした。
次会ったら覚えてろよ…と殺意が湧く。

本当に色々あったのだ。師が連れて来てくれさえすればこんなに日も経たず何事もなく来れたはずなのに。
そう考えるとまた殺意が…。

色々と思い返している間に乗り継ぎ駅に到着する。
過ぎたことはもうしょうがないとまた1つ溜息をつき、荷物を持ち金色の相棒と共に列車の出口へと足を向けた。

ドクンッっっ

ホームに降り立った瞬間、心の臓が大きく脈打った。
AKUMAか！？と左目でその像を探す。

いない…。

まぁ確かにAKUMAと出会った時とは違うザワザワとした胸騒ぎではある。
では何なのだとギュッと左胸の上の衣服を掴む。
分からない…でも強いて言うなら、何かに呼ばれている…そんな気がする。

｢なぁティム…｣

肩にちょこんと乗っている相棒へとそっと声を掛ける。

｢何なんだかよくわからないけど…これを解決しなきゃいけない気がする｣

各列車の乗り継ぎ駅だけあり、がやがやと騒がしい駅の外の街にじっと目を向けた。
金色の相棒が同意なのかはわからないが、アレンの後頭部をしっぽでポフポフと叩く。

アレンはそっとポケットから財布を取り出し、中を確認する。
行く先々でポーカー(イカサマ)で稼いだお金だ。

｢お腹空いたし、日も落ちてきてるし、確かめたいこともあるし…
今お金も何日か滞在できる余裕はあるし、今日はこの街に泊まってしまおうか。｣

先を急ぎたいのは山々だが、この胸のザワつきがどうも気になる。
相棒もまた同意するかのように、しっぽで今度は首筋をすりすりと撫でた。
それを確認したアレンは、街へと足を繰り出した。