異能力：《カゲロウデイズ》【文スト】【(微量の)カゲプロ】

25.だから生まれた ページ32

NO SIDE.


探偵社に戻りながらAは敦に聞く。


『敦、どうだった？虎を心に飼ってる身としては結構他の人よりも強烈だったんじゃないかい？？』

敦「……なんか…もはやクラクラしてたよ…」

『それはどーも！！！』

敦「褒めてないよ…」


次にAは与謝野にも聞いた。


『お医者さんの見解はどうですかー？？』

与謝野「……アレは、脳に…作用してるンじゃないかい？それか神経とか感覚とかに…」

『んー………僕もそこまでの理解は及んでないんだよねぇ……。なんて言ったって僕自身は酷く非力だからサ……！！ていうか、だから生まれた能力っていうか』

与謝野「要するに分からないンだね」

『イエス。“僕”には聞いても分からないしネ』


そして探偵社の前で、Aは振り向いて言った。


『つまりこの能力だけに留まらず、全部異能の原理なんぞ分からんってことだ！！！』

与謝野「もし解体で分かるンだったら解体させてもらいたかッたけどねェ」

『酷く丁重にお断りしたく存じます』

谷崎「丁重すぎる……」



──────


場は移り、探偵社に戻ってきた一同。

Aは次の異能についての説明を始めた。


『次は《覚ます》！！これはマッッッジでわけわからん！！なんか幽体離脱的な！！』

敦「説明が急にすごい雑！！！」

『まじで見せたほうが早いな。ウン。てかこのくだり毎回やってんな』

太宰「一人ツッコミはいいから！！」

『はいはーい。じゃあ一寸失礼して……と』


何を思ったか、Aは太宰と敦の側に少し寄る。

そしてそのまま


『異能力【カゲロウデイズ】、──《目を覚ます》』


異能を発動した。



……かと思うとAの目は閉じられ、身体は太宰と敦の方に倒れていく。

床に叩きつけられる寸前で、敦は床に滑り込んでクッションになり、太宰はAの身体を支えた。

敦はすぐに立ってAを揺さぶる。


敦『Aちゃん…？Aちゃん！！』


まったく目を覚ます気配もなく、死んだように眠る……否、気絶かもしれない……を見て、太宰も流石に焦り始める。


太宰「……Aちゃん、Aちゃん！？起きて！」


他の面子もAを取り囲む。

全員の心の中は満場一致で


(何が《目を覚ます》だ、真逆じゃん！！)


だった。


国木田「小娘、起きろ！！！」


国木田が馬鹿ほど大きい声で怒鳴っても起きないA。

冷や汗をかく一同に、急に声が飛び込んできた。



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