異能力：《カゲロウデイズ》【文スト】【(微量の)カゲプロ】

23.神経が図太い ページ30

NO SIDE.


『あーもう！！次！！《欺く》！』


Aが我に返ってなんとか仕切り直したが、いかんせん数秒前まではカオスだった社内。

まだ国木田は怒りに震えているし太宰は思い出し笑いを堪えては震えている。

そして敦は簡単にカオスになった探偵社にｺﾜｲ…と震えている。


『《欺く》はねー、はいッ！！』


Aが何を思ったかくるりと回ると、そこには赤毛でピンクのメッシュが一本入り、毛並みがフワフワとしているAそっくりの猫がいた。


谷崎「えッすごい！」

ナオミ「兄様、可愛いですわねぇ…」

敦「猫だ！」

太宰「ナイスだよAちゃん(犬じゃなくてよかった…)」

国木田「猫…小娘にそっくりだな…」


ナオミは猫ではなくて可愛らしい猫に頬を緩める谷崎を可愛いと言っている気もするが、探偵社の皆は猫になったAを口々に褒める。

しかしその猫ことAを尋常ではない眼力で見つめる人が一人。


福沢「……………」


福沢である。

無類の猫好きの福沢は、撫でたくて仕方ないけどどうしようという衝動を持て余していた。


福沢「…………」

敦「……あれっ」

太宰「………(汗)」


ほかの面子も段々と福沢の視線に気づき始める。

それでもなお、福沢はA(へんしんしたすがた)を見つめ続ける。


福沢「…………」


とうとうしびれを切らしたのは乱歩だった。


乱歩「社長、触ればー？」

福沢「うむ……」


そっ、と手を伸ばした福沢。

しかしその手が猫Aに触れるのを待たずに、今までの会話をじっと聞いていた猫Aが、福沢の手に頭をこすりつけた。


猫A『ﾝﾅｧ〜……』

福沢「……！！…！！」


それにパッと顔を緩める福沢。

猫Aはいつの間にか福沢の膝の上に収まって、ゴロゴロと喉を鳴らしていた。

見ていた敦が一言。


敦「……Aちゃん……出会って数十分の自分の勤め先の会社の社長の膝の上でリラックスするなんて………」


続いて乱歩も。


乱歩「キミ度胸…っていうか神経が図太いね」


そんな言葉たちに、能力をバッと解いて福沢の膝から勢いよく降りたAが言う。


『猫モードだと猫の性(さが)に逆らえなくなっちゃうんだってば！！』


勢いよく言ったAだったが、肩にはニッコリといい笑みを浮かべた太宰の手が乗る。

太宰のもう片方の手には猫じゃらし。


太宰「へぇー…それはそれは良いことを聞いたねぇ」

『もう太宰サンの前では猫にならん！！』



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