異能力：《カゲロウデイズ》【文スト】【(微量の)カゲプロ】

18.赤く、朱く、紅く、赫く ページ25

NO SIDE.


爆弾に表示されるのは残り5秒。


敦「爆弾！！！あと5秒！？」


そして敦は爆弾に覆いかぶさる。

敦は自らの体で爆発を封じ込み、被害を最小限にしようとしていた。


太宰「なっ……莫迦！！」


そんな敦と残り3秒弱の爆弾に、Aが平然と近寄る。


敦「Aちゃん！？早く逃げ──」


“逃げて”

この一言は紡がれることなく消えた。

何故なら、Aがなんでもないような顔で軽々と敦を持ち上げたからである。


残り2秒。


敦「Aちゃッ……！？」


再び敦の言葉はAの突拍子もない行動に遮られる。

なんと、止めようと向かって来ていた太宰たちに敦を投げ飛ばしたのだ。

当然、太宰たちは敦を受け止めはするが体勢を崩して倒れ込んでしまう。


1秒。


上体をやっとのことで起こすと、見えるAの姿。

彼女はなんの躊躇もなく爆弾を抱きしめていた。

横顔の中、髪から少しだけ見える目は


赤く、

朱く、

紅く、

赫く──


0秒


敦「やめッ…………！！！」


爆弾は






爆発しなかった。



敦「あ……れ？」

『ありゃ、やっぱり爆発しなかった』

敦「え！？」


そんな二人に太宰が近づいてくる。


太宰「やれやれ……莫迦とは思っていたがこれ程とは！自 殺愛好家の才能があるね君たちは」

『んな才能いらねーー！！！』

太宰「急に口が悪い！！」


コントを始めだすAと太宰に、まだ状況についていけていない敦が聞いた。


敦「え？爆弾…は？」

『爆弾はニセモノ。っていうか爆弾魔事件そのものが真っ赤なニセモノだよ』

太宰「おや、さっきのセリフでもまさか、とは思っていたけれど………全部わかっているのかい？」

『“僕”が教えてくれたんだよ〜』

太宰「…爆弾は爆発しないと分かっていたのにあんな行動を？」


太宰の目つきが少しだけ鋭くなる。

そんな太宰の雰囲気を打ち消すように、Aはニコニコと答えた。


『だって“万が一”があるでしょ？“もし”入社試験でなかったら。“もし”それを何処かで盗み聞きか何かした、それこそ探偵社に怨恨のある人物が中身の入っている爆弾に爆弾を取り替えていたら。Ifが大切極まりないんだよ』

太宰「……君は案外慎重なんだね」

『誰が早とちりに見えるって？？』

太宰「そこまで言ってない！！」


そして敦が思い出したように話しだす。


敦「そういえば…、あの目は？赤くて…！？それに僕を軽々と持ち上げたし…投げる必要あった……！？」


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