Ｃ家の鬼畜医者 (ページ13)

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その12 ページ13

貴「しょうがないじゃないですか。物理的に離れられないし、いきなり敵襲やら遠征やらになった時に困るじゃないですか。」

ここはクラッカーが納める国ビスケット島。

事の後、自分の身の置き場所はほとんど決定項だった。

自分は医療に専念できるならどこでも良かったしクラッカーは頑なに拒否したがカタクリの圧に押され了承するしかないようだった。

鎖繋いでおいて自分がいうのもアレだが中々に不憫な人なのではないかと思えてきた。

ク「おい、部屋の設計図描いてあるんだろうな？」

貴「あっ、はい。」

ホールケーキアイランドからビスケット島に来るまでの船で描いておくように言われた治療室と医務室そして私室の要望の図面を渡す。

それを真剣に見つめるクラッカー。

ク「・・・。よし。作るか。」

貴『・・・？そういう業者さん居なくない？』

クラッカーが手をパパンッと叩くと一瞬で何も無かった空間にビスケットが現れた。

貴「はっ？」

貴『ビスケット？』

ク「クラッシュビスケット。」

そういうとビスケットがサラサラと粉状になり、みるみるただの廊下だった空間に部屋が作られてゆく。

貴「クラッカー様の能力って何なんですか？」

ク「今、話しかけるな。集中している。」

見ればクラッカーの顔は真剣そのものだった。

貴『嫌いな相手の部屋にここまで真剣になれるものなのか・・・。』

ものの数分で渡した図案通りの部屋が出来上がり最後にドアを作りこんで完成させた。

ク「どうだ。出来たぞ。」

ドアを開けて中に入り確認すると専門の医療器具以外。壁、床、ベッドなど全て精密に作り込まれたビスケットによって出来上がっていた。

貴「はぁー・・・。凄いですね。ビスケットってこんなに固く作れるんですか。」

軽くコンコンとこずいてみたが普通の壁や床と大差がない。

ク「ふん、当たり前だ。おれのビスケットだぞ。ちなみに壁はより固く、床は歩きやすい強度、ベッドは安眠に誘う強度で作りこんである。」

貴『めっちゃ職人気質。』

貴「・・・。クラッカー様の能力ってビスケットを操るんですか？」

ク「そうだ。おれはビスビスの実のビスケット人間。ビスケットを無限に生み出し操れる。普段はビスケット兵の鎧を纏っているんだが・・・。お前と対面した時は城の中とはいえ油断していた・・・。クソッ・・・鎧さえ纏っていればこんなことには・・・。」

自己嫌悪モードに入りだしたクラッカー。やはり不憫である。