六つ子の妹は監督生。

☆&からっぽ ページ35

〈カラ松 視点〉

オレには、何もなかった。

からっぽなオレには、何も………



こんな自分を変えたくて、やがて
オレは“オレ”を演じるようになった。



でも…元からからっぽのオレは、
何をしてもカラ周り。

挙げ句には兄弟達にまで
冷たくあしらわれる始末。

それでも、オレは平気なフリをした。



でも。



チビ太に誘拐されたあの日………



何かが、壊れた。



オレは、要らないのか？
必要、ないのか？
ブラザー達にも？？



そうか、なら………

…消エチャエバイイノカ。




デカパンに頼んだ。

姿や気配を消せる薬を。

それだけじゃあ完全に消えたとは
言えないから、追加で更に消える
ようにしてもらった。

知り合いの記憶から自分の“存在”を。

これなら、もう誰もオレの事を
考えない。思い出さない。

さすがに薬だから永久に消えることは
不可能だったが、

辛くて耐えられなくなったときに、
よくこの薬を飲むようになった。


日に日に摂取する回数も量も
増えていって、もうこの薬無しじゃあ
生きていけないくらいに依存
してしまったが…………

でも、オレはそれでも構わない。

オレが、“松野カラ松”で
あり続けるためなら。

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