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「近いな……」
鶴丸の声が聞こえた。
思ったよりも声が近くて、体がビクリと揺れた。
「……そうだな。俺は夜目がきかないから分からなかったよ」
鶴丸にしては珍しく、身じろぎすらせずに大人しくしている。
なんだか気まずくなって、視線を下に下げた。
ほどなくして、鬼が部屋に入ってきたらしく、足音が聞こえた。
軽い足音だ。
今剣だな、と密かに思いながら息を忍ばせる。
「あーるじさまーはこーこにもいーないっ♪」
今剣は軽やかなメロディを口ずさんでいる。
「あるじさまはぼくがみつけるのです!だれにもわたしませんよー!!」
部屋中に響き渡る声で叫ぶと、今剣は部屋を出ていった。
隣の鶴丸の緊張が少しだけ緩んだような気がして、俺は口を開く。
「すっげぇ緊張した……」
横に首を傾けると、鶴丸の肩に頭が当たった。
鶴丸が息を飲んだのがわかった。
「……なぁ、鶴丸」
鶴丸の肩から頭を離す。
埃が舞った。
「お前って、もしかして___」
「あるじさまみつけました!!!」
その声とともに、下から今剣が顔を勢いよく出した。
いきなり目に光が入り、ズキズキと傷んだ。
「へへーん!あるじさまゲットです!」
誇らしげにそう言った今剣は、身を低くして天井裏に飛び乗った。
俺と鶴丸を交互に見て、訝しげな顔をした。
「つるまるとあるじさま、なにかあったんですか?」
「ん?なにもねぇよ?」
「なにもない?そんなわけないじゃないですか!じゃあなんでそんなにきょりがちかいんですか!?」
ビシィッと、今剣は俺たちを指さした。
立ち上がろうとしたため、ゴンッと頭をぶつけている。
「それにそれに!つるまるのかおがあか……」
「いやぁ、見つかってしまったな、主!さぁ居間に戻ろうか!」
今剣の言葉を遮り、鶴丸は天井裏から抜け出した。
その後、今剣の首根っこを掴み、そそくさと部屋を出ていった。
_______
(あれ?大将、なにやってんだ?)
(薬研!いいところに!降りれねぇんだよ、助けてくれ)
(……大将、降りれるところに隠れろよ)
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単細胞 - すごいおもしろいです!更新がんばって下さい!応援してます。 (2017年3月20日 15時) (レス) id: fad380b809 (このIDを非表示/違反報告)
六つ子保留♪刀剣乱舞安光 - 更新頑張ってください! 楽しみにしています! (2017年2月1日 13時) (レス) id: f067d2473a (このIDを非表示/違反報告)
六つ子保留♪刀剣乱舞安光 - 更新頑張ってください! 楽しみにしています! (2017年2月1日 13時) (レス) id: f067d2473a (このIDを非表示/違反報告)
朧狐 - 面白かった。更新まってます (2017年1月26日 19時) (レス) id: 6f6c6002b6 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 面白いです!!嫉妬とか可愛すぎです//更新頑張ってください!! (2017年1月26日 14時) (レス) id: b795c97ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無機物 | 作成日時:2017年1月22日 22時