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ぺたぺた、と歩く床は冷たかった。



外の寒い風に晒されているせいもあり、廊下とは比べ物にならない冷たさだ。




「……見つけたぞ、三日月」



話しかけてみるも、返事はない。



これでは俺が床に話しかけている変人ではないか、と少し苛立たしくなった。



「また1人では出られないなんて言うんじゃないだろうな?」




返事はない。




「もう降参したらどうだ?そこにいんのは分かってるから」




少しの沈黙のあと、縁の下からなにかが動く音が聞こえた。



それから、一つのため息。




「お前なら見つけてくれると思ってたぞ」




「ずっとそこで待ってたのか?開始からずっと?」



床に話しかけているなんて不思議な感覚だった。



けれど、三日月は縁の下にいるのだからしょうがない。



「ここだったら主以外に見つかることはないと思ってな。……しかし、少々時間がかかりすぎだ」



「上から目線がすぎるぞ。……1人で抜けられるよな?」



「はっはっはっ。抜けられると思ってるのか?」





土埃を起こしながら顔だけ縁の下から出した三日月は、手を差し出してきた。



引けって言うことか。




ぐっ、と三日月の手を握り、思い切り引き上げる。




ずる、と引き上げられる瞬間も美しい三日月に少しだけ嫉妬した。


少しだけね。




「ったく、もっと分かりやすい場所に隠れろよ」




「そうだな……言い訳をするならば、俺は主以外には見つかりたくなかった」




美しい笑みを浮かべる三日月を見て柄にもなく照れてしまった。




「……あぁ、見てみろ主。綺麗だな」




外を見つめ、三日月は呟くように言った。




「……桜はないぞ」





「そうではない。雪だ。……真っ白で、美しい。まるで、主のようだ」





……俺が女だったらコロッと落ちちゃってただろうな。



三日月の視線の先を見る。



「……確かに。これは綺麗だな」





庭1面に広がった雪たちが、太陽の光を反射してキラキラ輝いている。




普段はあまり気にかけないけれど、その景色の美しさに思わず魅入ってしまう。






「……しまったな、俺は雪にすらも嫉妬してしまっている」






雪に夢中だった俺は、三日月の言葉が耳には届かなかった。

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単細胞 - すごいおもしろいです!更新がんばって下さい!応援してます。 (2017年3月20日 15時) (レス) id: fad380b809 (このIDを非表示/違反報告)
六つ子保留♪刀剣乱舞安光 - 更新頑張ってください! 楽しみにしています! (2017年2月1日 13時) (レス) id: f067d2473a (このIDを非表示/違反報告)
六つ子保留♪刀剣乱舞安光 - 更新頑張ってください! 楽しみにしています! (2017年2月1日 13時) (レス) id: f067d2473a (このIDを非表示/違反報告)
朧狐 - 面白かった。更新まってます (2017年1月26日 19時) (レス) id: 6f6c6002b6 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 面白いです!!嫉妬とか可愛すぎです//更新頑張ってください!! (2017年1月26日 14時) (レス) id: b795c97ea7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無機物 | 作成日時:2017年1月22日 22時

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