第1章1話 ページ2
ここは産婦人科病院。その病院に男二人と一人の女が居た。そのうちの一人は立てばウロウロ、座れば貧乏ゆすり。
傍から見てもかなり落ち着きなく見えるが、それも仕方が無い。
なぜなら、大事な妻が今頑張って子供を産んでいる最中だからだ。
そんな男、否、如月 優にこの場に不釣り合いな格好をしたもう1人の男が話しかける。
「おい、心配なのは分かるが、少しは大人しくしてくれ」
かつてはサムライ南次郎だなんて呼ばれていた男が、落ち着きのない優に痺れを切らし言う。
なぜこの人がここにいるかといえば、如月 優の親友であり、同居人であるからだ。
「そう言われても心配なものは心配なんだから仕方がないだろう」
そう言っている間にも貧乏ゆすりは止まることを知らずで、南次郎の気をいっそう悪くさせるばかり。
そんな中、その南次郎の隣に座り少し苦笑い浮かべた彼女、越前 倫子が夫の不機嫌を感じ取った。
「まぁまぁ、とりあえずじっくり待ってましょ。少し焦りすぎですよ」
そう倫子が言うと同時に、目の前にある扉の向こうから赤ん坊らしき産声が聞こえてくる。
「う、生まれた!?」
その産声と共に先程までの不安の顔は飛び去り嬉しそうな笑顔でいると、待ち遠しい目の前の白い扉から看護婦さんがやってくる。
看「如月さん、中にどうぞ、無事に生まれましたよ」
そうニコニコときた笑顔で言う看護婦さんに安心の笑みを浮かべ、そして如月優は急いで中へ入り最愛の妻の元へと駆け寄ると、隣にはとても愛らしい娘がいた。
如月優は娘を割れ物を扱うかのようにそっと抱き
「ありがとう、本当にありがとう。
よく頑張ったね」
そう満面の笑みで今は寝ている自分の妻である如月静香に語りかけたのだった。
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作者名:モモモ | 作成日時:2018年5月17日 22時