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本能が道を示したように、弾き出されたかのように岩本は走り出した。
ーこれが阿部の言っていた声か。
ー誰の声だ、俺は聞いたことがない。捕らわれたファンタジスタの能力か...?
ファンタジスタ、と考えたところで急に脳が冴える。捕らわれているはずならどこかで固まっているはず。ならば軍人もそこに固まっているはずだがその気配がない。ということは逃げ出したファンタジスタがいるのか。今の情報で逃げたのはラウールともう1人、もう1人の能力は確か...?
「「テレパス」って...そういうことかよ!」
他者の脳に語りかける、能力の仕組みを理解した岩本は余計に足を速めた。脳に関連する能力に希少価値があることを知っている彼は最悪の事態を想像して冷や汗を流した。
かかってくる軍勢を風の如く吹き飛ばしながら進むと、次第に脳の違和感は強くなる。
【ごめん、俺もう無理だ。】
悲しみに満ちた声を聞いて目を見開く。12区で蹲るファンタジスタと同じ声色をしている、全てを諦めたかのような...。
「ッオラァ!!」
自分より背丈のある軍人を壁にめり込ませ、ただただ走る。次第に敵の数と騒音は減り、急に床色が白へと変わった廊下が現れた。急な不気味さを感じた岩本は少しペースを落としてじっくり観察する。いくつかの扉が並んでいるが、手前から3つ目は開かれている。床には途中から目立つ汚れが点々と続き、開いた部屋へと吸い込まれている。乾いているがあまり時間は経っていない。色を見るに...血痕?
血のようなものを掬おうと屈んだその瞬間...
「こーちッッ!!!!!!」
誰かの怒号と同時に、扉の開いた部屋から人が飛んできた。
...何が起こったか分からない岩本は唖然とその様子を見る。壁に衝突した男はそのままぐったり倒れ伏し、ころんと銃が転がった。
ーあの銃の形は...軍人か!ということは中にいるのは....!!
光の速さで駆け抜けた岩本は軍人を足蹴にして部屋の中へ急ぐ。
中には倒れた棚、割れたフラスコとなにかの液体が床に広がる。
中央には酷く出血した男が倒れ伏し、それを抱えるもう1人の男。彼の目にはサングラスがかかっており、骨格が東洋人のものではない。北斗の言っていた男の内の1人だ、と声をかけようとしたところで...
部屋の隅で壁にもたれかかっている、色の抜けた髪の少年を見つけた。
瞳は長いまつ毛に覆われ見えないが...間違いなく、探し求めた仲間だと分かった。
「ラウール...!!!」
声は、震えていた。
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
