1.◇Hurricane ページ48
『みんなみんな、佐久間です!!』
襲ってきた軍人達を返り討ちにする岩本の耳に、特徴的な高い声が聞こえた。インカムの様子からして佐久間は無事なことがわかる。ほっとするが、それを悟られないよう「なんだよ」とぶっきらぼうに返した。
『速報速報!ビッグニュース!大変だよ!』
「要件は短く簡潔にしろ!!ッと、」
最後に向かってきた敵を殴り飛ばす。その勢いのまま壁に激突した敵は床に沈み、もう動く様子は無さそうだ。
後ろからぜえぜえと息を切らして走ってきた深澤と阿部と合流したところで、詳しく話を伺う。
『ゴメン、もう興奮しちゃって...じゃなくて、ホントにヤバい!運命!報告します!
ラウと一緒に逃げてる「テレパス」の人を探してる集団と接触!その仲間に、俺がずっと探してた大我がいることから、施設内に大我が入ったことも確定!
よって、俺と康二からその集団と協力することを提案したい!!』
『ハァ!?』
向こうで翔太が叫ぶ。キン、と耳が劈くも思っていることは同じだった。
「お前急すぎだろ!!何が何だかわかんねえし、」
『ホント言った通りなんだって!
俺たちと同じ目的の人達がいる、それだけで十分だろ!?』
その言葉で一瞬言葉が詰まる。
政府に楯突く集団が自分たちしかいないと思ったことは無いが、実際に会うとなると戸惑う部分がある。それに踏まえてこの混乱した状況で落ち着いて話せる機会があるなど考えられるはずがなかった。
...すると、インカムの向こうがガチャガチャと騒がしく音を立てた。「あっちょっと、キミ...!」と佐久間の焦った声が遠く聞こえる。
『ごめんなさい、ちょっと貸して....。
はじめまして、松村北斗っていいます。廃都6区から「テレパス」を助けるために5人で来ました。』
聞いたことの無い声が耳元で響く。一瞬警戒するが、佐久間と向井がインカムを取り戻そうとする様子がないため一旦話を伺うことにした。
『今は信じてくれなくてもいいです。俺だってそっち側だったら絶対信じてない。
でも、貴方達と同じぐらい俺達も仲間を助けたい。俺達は仲間同士で連絡を取る手段がないからせめて協力だけでもお願いしたいんです。この場だけでも信用してくれるならこっちの情報を全部提供したっていい。
時間が無いんです。どうか、どうかお願いします。』
悲痛だが、芯の通った声であった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 798人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
