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1.◆Bright ページ44

脱兎の如く駆けた男を目にした樹は、眩い光が通過したものだと錯視したのだ。


アラームから逃げ続け、目の前にある扉を片っ端から開けた樹と北斗が辿り着いた先は施設の外であった。推定午前3時頃、月のあかりが一帯を煌々と照らす様を見て、樹は自分の体が両腕から徐々に獣毛に覆われる感触を覚える。背後に襲いかかろうとした軍人を嗅覚で察知し蹴りを入れた頃には、完全な人狼と化していた。

「樹、気分は!?」
「悪くないね。超いい感じ!!」

普段抑え込んでいた獣化を本能のままに解き放った樹は些かハイになっており、北斗はため息をつく。その隙にも飛んでくる銃弾を大量の酸で溶かしながら次の一手を考えていた。

ー今の樹ならこの人数の敵を蹂躙することはできるけど、これ以上数が増えると厳しくなるかもしれない。一掃するためには...?
相方の様子を伺う。いつの間にか遠くの方まで行っていた樹を見て、北斗はにやりと笑みを浮かべた。...これならいける。

瞬間、樹と逆方向に思い切り駆け出す。勢いのまま脱ぎ去った両の手袋が地面に叩きつけられるのも気にせず相手と距離をとることだけ考える。追いかけてきた軍人を瞬足でぐんぐん突き放したあと、一気に立ち止まりクルリと敵の方を見据えた。
...かと思えば、その両手を上へ掲げた。


ー俺は、この奇病が嫌でたまらなかったんだ。
ー友達と素手で触れ合うことも出来ず、悪気がある訳でもないのに他人を知らず知らずのうちに傷つけてしまう。
ー両手が憎くて憎くて仕方なくて、どうやったら切り落とせるかまで考えたことまであった。

ーでも、心の底から信用出来る友達を守るために使えることは、悪くは無いと思う。


両手から勢いよく噴射された大量の酸が、雨となって降り注ぐ。
モロに浴びた軍人から硬い鎧を突き抜けて侵入する激痛に悶え苦しみ、その姿をただ眺めた。
地面に転がった岩や石にまで穴が開き、周り一帯のジュワジュワとした音が止んでしばらく立ったあと、ある程度まで近付いてきた樹が「ッハ!」と特徴的に笑いながらしっぽを振った。

「北斗ー!」
「なんだよ。」
「気分は?」

「...超、いい感じ。」

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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは!余計な事を言ってしまってすみませんでした!続きを楽しみに待ってます! (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もえなっとう | 作成日時:2021年1月28日 18時

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