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深澤が震える声を絞り出した。

「ラウールが、誰かと逃げてる...?」

忘却病はおそらく探していた彼で間違いないだろうが、「テレパス」なんて能力を持った人物に心当たりがない。誰かと協力して行動を起こしていることに驚いていると、インカムから声が聞こえた。

『こちら渡辺、聞こえるか!?』
「翔太、アラート聞いた!?」
『バッチリ聞いてる!それより軍人一気に出てきてるぞ!』
『俺向井!!外でも聞こえとったけど、モタモタしとったら増援呼ばれるで!実際出始めた奴いっぱいおるから!!』

向井のマイクの向こうで佐久間が戦う音が響く。
岩本が舌を打って扉を開け放ち再び飛び出した。ラウールの捜索を急ぐと理解した深澤が慌てて後を追い、阿部も続こうとした。

しかし、背後からかすかに聞こえた声に足を止めた。

「何で...俺が、何でこんなことに....」

頭を抱えてブツブツ独り言を呟く軍人が、阿部は少しだけ気の毒に思えた。
彼もただ平和に生きていただけで、戦うつもりなどこれっぽっちもなかったのだろう。一般人(ノーマル)にいい思い出は無いのだが、政府の徴収制度はいささか強引では無いのかと思えてしまう。

「俺は殺したくてやってるんじゃない...殺しなんてやりたくない、なんでこんな...」
「...今までされたことは許せないけどさ、同情ぐらいはしてあげられるよ。」

顔を上げた軍人はぐしゃりと表情を崩し、涙を流し始めた。

「妻と娘と幸せに暮らしたかっただけなのに....どうして軍人になんかならなきゃいけないんだ....。」
「無理やり兵役させられてるの?」
「そう...そうだ。金が支給される代わりに管理を任されて、失敗したら家族が危なくて....、でも断ればよかった。そしたら...」

境遇を想像して口をぎゅっと噛み締める。ほんの一般の市民にこんな過酷な仕事をさせるなんてどうかしてる。ファンタジスタも能力や奇病を持たない人々も、平和に暮らしたいだけなことを阿部は知っていた。

やはり、一般人(ノーマル)が全員敵なわけじゃ...



「そしたらこんな...こんな気持ち悪い、化け物達の相手なんかしなくてすんだのに...。」






目の前の景色が冷めていく。

「もういい。
お前には残念だよ。」



真っ赤な華が散った。

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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは!余計な事を言ってしまってすみませんでした!続きを楽しみに待ってます! (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もえなっとう | 作成日時:2021年1月28日 18時

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