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「...誰か来る。」
深澤の言葉に、忙しなくキーボードを打っていた阿部の手が止まる。岩本と阿部がじっと身を固めて扉を見つめ、深澤は目を閉じて耳を澄まし続けた。
カツカツと一定の感覚で足音が響き、3人のいる扉の前を悠々と過ぎ去ったところでー...岩本が、飛び出した。
「なっ何者ー...っぐぁ!!」
「ちょ〜っと静かにしてろよ。」
口元を塞ぎ力を加減して腕を拘束し、自由を奪ったところでズルズルと扉へ引きずり込む。部屋の隅に寄せ深澤が頭に銃を突きつけると、軍人は身につけた装備に似合わない情けない声を上げた。
「質問に首を振って答えろ。それ以外は許さない。」
深澤が冷たい声を放つ。なにか言いたそうな軍人が身動きをとる度に強く銃口を押し付けると、ついに動かなくなった。次に岩本が口を開く。
「ファンタジスタを拐って閉じ込めたのは、ここだな?」
縦に首を振る。
ラウールが拐われた先はここで間違いないことがわかった。質問は続く。
「政府からの指示か?」
「......」
「上のやつが企てたのか?」
今まで黙り続けていた軍人が何か言いたそうに口を開き、震えた声を出した。
「おっ...おれ、は」
「...オイ」
「いいよ照。何?」
岩本を制した阿部が聞く姿勢を見せると、深澤は銃口を少しだけ遠ざけた。それを話していい合図だと受け取った軍人が震えながら喋り出す。
「俺は、徴収されたから、何も知らない.....。誰がやったとか、何人いるとか、何も分からない....。」
街から一般市民を徴収して兵役させているのか。情けをかけるつもりはないが個人に恨みがあるわけでもない。同情の余地は少しだけある彼を阿部はじっと見つめた。
...が、1つだけ気になる。
「何人いるか...って、やっぱり複数誘拐したんだ。」
阿部の言葉にハッと顔を上げた軍人は、観念したように俯いた。選別しているのか無差別なのかはおそらくこいつには分からないだろうが、ラウールと同じ状況に置かれている人間がいることが確定した。
果たしてどうやって助け出そうかと思考をめぐらせている時だった。
...施設中に、爆音が響く。
「ッなんだ!?」
「緊急アラート、なんで!?誰か見つかった!?」
『エマージェンシー、エマージェンシー!
B1にてファンタジスタ2名が脱走。収容番号29番「忘却病」30番「テレパス」が脱走。見つけ次第生死問わず拘束し、政府に連絡を。
繰り返す。ファンタジスタ2名が脱走。ー...』
場が凍りつくと共に、3人は聞き馴染みのある単語に顔を合わせた。
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
