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え、と声を出す前にラウールが血相を変えた。ガシャガシャと手錠と足枷を動かしながら壁際へ身を寄せ、ガタガタと震えだしてしまった。
「ッッうわ、何、どこ!?先生?ど、ごめ、ごめんなさい、」
「ちょっ...ラ、ラウール落ち着いて!」
気が動転している少年の目を合わせようと正面に座る。顔を掴んでも合わせたいところだが、手は塞がっておりもどかしい。しばらくキョロキョロと泳いでいた目はだんだん落ち着いて、今度はしっかりと高地の方を捉えた。
「はぁ、は...あれ、高地、くん?」
この一瞬でびっしょりと汗をかいたラウールは何が起こったか分からないようだった。
「よかった....気づいた?痛いところない?」
「な、ないです...。あれ、僕何を...。先生は?」
「大丈夫だよ、俺たちしかいないから。」
ラウールの言う「先生」が誰なのかは分からないが、部屋に高地と自分しかいないと理解した彼は息を整えながら肩の力を抜いた。高地もまた、はぁと息を吐いて膝を抱えてしまった。
注射を打たれた前後があやふやになっているようで、ラウールは順に記憶を辿る。
ー確か医者みたいな人がいて、...ち、注射器を持ってて、腕に刺されて、そこから...
「ッごめんなさい高地くん!...僕
「俺は全然大丈夫!ちょっと肩痛いけど、大したことないし...。」
.....すぐに?
ラウールに謎の液体が注入されてから気を失うまで、少なくとも5分程度はあったはずだ。静かにしろ、大人しくしろと床に縫い付けられながら必死に抵抗し、今までの闘気が萎んでしまうぐらいには疲れ切ってしまった。傷口が開くまで暴れて、それでもなんとか助けようと、ラウールは何とか逃げようとしていたはず。
その時間は、果たして「すぐ」と言えるほどだったのだろうか?
ショックで記憶が混乱してしまっているのかもしれないし、自分と「すぐ」の基準が違うのかもしれない。高地はそう思い込むことにした。
酷く疲労してしまっているため、今日はもう眠ろうと言った。
部屋の隅にぐしゃぐしゃに置かれていた1枚の毛布を引っ張り出し、2人寄り添いながら丸くなって目を閉じた...。
・
・
「TRAGの在庫は?」
「あまり。元の輸入量が少なかったのと、今日の注射分で...。」
「そうか。しばらくは生産した分をこちらへ寄越すよう指示を出しておけ。」
「はっ」
「...さて、誰が廃人に、誰が真の「化け物」になるかな?」
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
