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話されたことの2割も分からなかった。
大広間から出され再び軍人の後を着いて歩く。高地はもう一度神父の言葉を思い出して整理したが、何が何だかさっぱりわからない。しかし不浄だか哀れだか神のためだとか、天都の連中がファンタジスタにとって何か胸糞悪いことを行おうとしていることだけは明らかでイライラする。
異様な空間に気圧されてしまったのか、隣のラウールは顔色を悪くして黙ったままだった。
不意に足裏が冷たくなるのを感じ顔を上げると、来た時とは違う道を進んでいることに気づいた。
「ちょっと、道...」
「黙っていろ。」
ピシャリと放たれた言葉に口を噤む。
先にある扉を開けると、顔全体を覆うマスクをつけた人間が10人ほど待機していた。自分たちより先に入室していたファンタジスタは椅子に座って腕を出し、何やら採血をされているようだった。
...その様子を見た隣の少年が、いきなりガタガタと震え出す。
「ラウール?」
「ッ.......、はぁ、」
苦しそうに胸をギュッと掴み、膝からかくんと崩れ落ちたとことを間一髪で支える。名前を呼ぶが荒い息を繰り返すだけで明確な反応は示さない。
なにか言っているようで耳を寄せると、ひたすらに「こわい」と呟いているようだった。
誰か....と顔を上げるが、捕らえられたファンタジスタは既に部屋の外へ出ておりこちらの様子に気づかない。代わりに注射器を持った医師らしき男が目を向ける。カルテのような紙をペラペラと捲ったあと不気味に笑った。
「検体番号29番。「忘却病」の男だな。」
瞬間、うずくまったラウールに二人の男が無理やり脇に腕を入れて立ち上がらせる。
「オイやめろって、具合悪いって見てわかるだろ!?」
「そうだな。我々にとっては好都合だ。
TRAGを持ってこい。鎮静させる。」
「はっ、はぁ、やだ!」
ついにラウールは身を捩って抵抗をし始め、腕を振り上げてどこかへ逃げようとする。それを力づくで押さえつけて床に固定し、医者はラベルの貼られた透明な液体を注射器に入れ込む。
嫌な予感がして背中に冷や汗が伝う。
「何だよそれ...!何するつもりッぐ」
「貴様はいい加減黙っていろ!!」
「やだ、やめてごめんなさい!!先生、許してください、悪い子でごめんなさい、ごめんなさい」
「嗚呼うるさい!!押さえつけておけよ、針が折れてしまっては処置に手間がかかるからな。」
自分も押さえつけられた隙間から声を上げる。
泣き叫び何かを口走るラウールをよそ目に、針が腕へと吸い込まれた。
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
