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1. Injection ページ11

一定の感覚で豆電球がぶら下がった廊下を進む。自分たちを挟むように前後を歩く軍人たちは高そうなブーツをカツカツ鳴らし、隣の高地は裸足でぺたぺた歩いていた。(なぜ靴を履いていないのか聞くと、気付いたら左足の靴がなかったため右足も捨てたらしい。)

廊下を過ぎるとどんどん階段を下り、明かりは先程よりもっと暗くなった。牢屋のような鉄格子が並び、中には誰も入っていない。囚人が入るような空間が身近にあると感じてラウールは悪寒がした。
不安になって高地を見つめると、彼は目を合わせて安心させるように微笑んでくれた。

大きな扉を開けると、廊下とは打って変わって最新の平べったいライトが白い壁を照らしていた。広い空間には老若男女問わず様々な人間が集められており、隅には軍人が待機している。
ラウールは急にドンと突き放され、その集団の中に押し込まれる。手錠では上手く身動きができず膝を着いてしまうが、気づけば周りは皆そうだった。

「...色んな人が、いますね。」
「30人ぐらいだね。見境なく誘拐してる...のか?そんなことはないと思うけど」
「静粛に!!!」

いきなり警備していた軍人が声を荒らげ、ざわついていた室内が一気に静まる。

「これより、神父様が入場なさる。貴様らに対して神より受け賜しありがたいお言葉を述べられるので、心して聞くように!!」

そうだ、天都は神を信仰しているんだったとラウールは思い出す。遠い昔のように思えた過去の記憶が徐々に蘇り、生唾を飲む。

しばらくの沈黙の後、白い壁に紛れていた天井まで届く扉が仰々しい音を立てて開かれる。そこには壁と同じような白い服を纏った老人と、1枚の絵画の端を支える軍人が佇んでいた。

金の装飾が施された額縁に入れられた絵画は、古い宗教画のようだった。12区では滅多に見られない綺麗な青空に、そこに浮かぶ雲からは子供の見た目をした天使が舞い降りている。中央には腰に布を巻いた上裸の男がおり、両手を広げにっこりと微笑みながらこちらを見つめている。

...その下には、拝むように両手を合わせ涙を流す女性の姿があった。


神父と呼ばれた老人は、部屋の中央に鎮座している台座に座る。絵画はその前に置かれている台へ固定された。
キラキラと光る額縁に眩しいほど白く塗られた部屋全体に、対照的に汚い身なりをしたファンタジスタ。
何か不穏な気配を感じたラウールは、自分の喉がカラカラに乾いているのに気づいた。

神父が口を開く。

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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは!余計な事を言ってしまってすみませんでした!続きを楽しみに待ってます! (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もえなっとう | 作成日時:2021年1月28日 18時

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