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「...アレ、なんだこの扉。」
先程とは変わって慎太郎が先頭となり進んでいく。
長い廊下を進んでいく先には、木製の扉が佇んでいる。今まで鉄製ばかりだったので、異質で浮いている雰囲気を醸し出していた。
開けるよ、と声をかけてドアノブに手をかける。重い音を出して開かれたそこは、同じような木製の部屋が広がっていた。
何列にも並べられた長い木のベンチの向かいには小さな台が設置されており、その背後には大きなステンドグラスがはめ込まれている。
「なんだこれ。神と、天使と.....女の人?」
ガラスの絵は、手を広げる老人...恐らく"神"と、その頭上を飛び交う赤子のような天使と、その下で膝をつき涙を流して手を合わせる女性の姿。
樹が駆け寄ってそっと触れると、当たり前だが冷たく硬い。しかしそれだけでなく何か圧倒されるような気を感じ、相当金をかけて作られた純製であると気づいた。
「...思い出した、ここが礼拝堂か。」
慎太郎が他人事のように呟いた。
そこは、政府の所持するサナトリウムとして目印となる部屋であった。慎太郎もかつてはここで神を崇め奉っていたのである。
子供の頃はなんの疑問もなく座っていた場所が、宗教が何か全てを知ってしまった今だと不気味なものに思えた。
廃都で育ったジェシー、樹、北斗は物珍しそうな目でうろうろする。そんな中ふと松村が「ちょっと」と言って全員を集める。
ベンチを指さしてジェシーに端を持ってもらう。掛け声とともに木製のベンチが動き床に見えたのは、1枚の天板のようなものだった。つけられているフックを引っ張りながら京本が問う。
「これ...扉?」
「多分。地下に繋がる隠し通路かもしれない。」
「まじで?お手柄じゃん。」
珍しく興奮したように声を上げた樹は北斗にハイタッチを求めたが、京本の「開けるよ」という声で不発に終わった。
ゆっくりと開けられたそこは白い床が広がっており、見たところ人気はない。よく調べると、隠し扉の裏にはしごがついていることに気付く。
すなわちここは定期的に使用されているのだ。
すると、突然施設中に爆音が鳴り出す。緊急のアラームが作動したことに焦る彼等は、次の放送で口を噤んだ。
『エマージェンシー、エマージェンシー!
B1にてファンタジスタ2名が脱走。収容番号29番「忘却病」30番「テレパス」が脱走。見つけ次第生死問わず拘束し、政府に連絡を。
繰り返す。ファンタジスタ2名が脱走。ー...』
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
