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呻き声をあげて軍人は抵抗する力をなくした。
渡辺は「雪女病」を患っている。それは触れるものを凍らせる様と彼の体温の低さを見た人間が名付けた名前であったが...この能力の真髄は「触れるものの温度を変えられる」ことにあったのだ。
熱された縄に縛られた軍人が激痛で動けないのを見て宮舘は縄を切った。壁に貼り付け固定すると背後のファンタジスタへ合図を送る。一気に走り出したファンタジスタが磔となった軍人を避けて次々脱出を開始した。
その影に紛れた目黒が隙を着いて攻撃しようとする軍人を潰していく。銃を取り出そうとすればナイフで腕を刺し、叩き落とした武器を遠くへ蹴り飛ばす。予想不可能な目黒の出現と攻撃に軍人は戸惑い、その無駄な時間が命取りとなった。
混沌とした敵とは対照に結託したファンタジスタは次々と駆けていく。宮舘と渡辺が先頭で攻撃を防ぐのを確認した目黒は再び残党へ目を向けた瞬間...後列から悲鳴が上がった。
人混みに飲まれた老人が床に転んでいる。
助けようとしたファンタジスタは人の波に流され自由に動けない。
なんとかして自力で立ち上がろうとした老人に...隙に気づいた軍人がナイフを振りかざした。
...影から手を伸ばし老人を抱きとめた目黒の視界が、真っ赤に染まった。
と同時なのか後なのか、手前から感じた大きな衝撃波によって2人は壁まで吹き飛ばされる。誰かが自分の名前を叫んだ気がするが渡辺なのか宮舘なのか判断がつかない。
咄嗟の判断で庇った老人を手探りに確認すると、腕の中で震えていることに気が付いた。
無事を目で確認しようとするが視界が開けない。なぜこんなに赤いんだ。老人が怪我をしたのか?ぺたぺた触ってみるが嫌な感触は感じられない。
「どうなった、大丈夫ですか、怪我は...」
「私は大丈夫だが....アンタ...瞼が...」
瞼?
ふと自分の目の上を触ってみる。すると、ビリッと電気が走ったと思えば指は生暖かな液体の感触を覚えた。
「目黒!!」
今度は渡辺だとわかった。声のした方を向くが勿論目が効かない。きょろきょろと顔を動かすと柔らかい布が顔面に押し付けられた。
「瞼を切られたんだな?しばらくタオル当てて止血しろ、お前が守った人は傷1つついてねえから。」
「しばらくって...そんな時間、今どうなってるの、」
「落ち着け!!俺もよくわかんねえけどあいつは大丈夫な気がするんだよ!!」
「あいつ?」
「ド〜モォ!いたいけなご老人に手を出す不届き者は、俺の重力の前にひれ伏しな!!」
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り - 面白くて一気に読んでしまいました!お忙しいとは思いますがまた更新再開するのを待ってます!!!! (2022年3月9日 23時) (レス) id: 1d9129f20d (このIDを非表示/違反報告)
もえなっとう(プロフ) - Hano.さん» Hano.さん初めまして、ありがとうございます!これからもぜひお楽しみに...! (2021年11月11日 11時) (レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - この作品おもしろくて一気読みしてしまいました、、!これからも更新楽しみにしています!! (2021年11月4日 12時) (レス) id: c16f775043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もえなっとう | 作成日時:2021年10月20日 1時