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片方より小柄であろう「テレパス」は、酷く傷ついた体をよじって声を出していた。
「ッとりあえず止血...!」
「高地、寝ないでね。ちょっと痛いけど我慢しろよ...。」
見る限り1番酷いのは肩の銃痕だ。生温い血液で湿った患部は熱を持っており、すぐに消毒せねばこのまま膿んでしまう。荷物から取り出したハンカチを口に噛ませ、消毒液を含ませたタオルで傷を圧迫した。もう1人は消毒の痛みで暴れる体を押さえつけたあと、汚れた箇所を拭いていた。
持参した包帯で傷をぐるぐる巻いていると、ハンカチを口からこぼした「テレパス」が話を続けた。
「ジェシー、と...あんた...誰...?」
「俺はそこの奴の仲間だよ。お前ラウールを守ってくれたんだろ!?」
「...仲間.....よかった.....」
途切れ途切れに声を紡ぐ彼は疲弊しており、どんな厳しい逃走劇を繰り広げたか察する。
「ラウール、薬を...打たれてる。奇病を進行させて...廃人にさせる...」
頭を殴られたような衝撃が心を貫く。骨が溶けたように脱力した体は揺さぶった反動で床へ伸びているが、それさえも反応してくれなかった。
「テレパス」は今にも眠りそうな瞼を意地で開け、こちらに何かを伝えようとしていた。
「どうなるんだ、このままか、何か策は....」
「左の棚に、中和剤...」
左の棚。頑丈そうな棚はひと悶着あった後も倒れず堂々とそびえている。
「1番...上の段....、ケホッ、左.....」
「これだな!?」
言われた通りの薬品をひっつかみ、壊れた器具の中で唯一無事だった注射器に吸わせる。すぐさまラウールの体を起こし右腕を捲ると、そこは青黒く腫れた痣になっている。
これだけ嫌な色になっていると、刺した瞬間激痛に襲われるだろう。皮肉ながらもある意味脳が停止した状態でよかったと感じながら、腕を新しいタオルで拭く。
浮き出た血管に狙いを定めて...そっと注入した。
「よし....打ったぞ。これでいいんだな?」
「効く時間は...わからない、けど.....きっと.......」
大丈夫。
そう呟いて、彼はそっと目を閉じた。
一瞬最悪の状況を想像して呼吸を確認したが、すうすうと落ち着いた寝息をたてているだけだった。
気も力も抜けた2人は思い切りため息をつき、床に腰を下ろした。注射を打ってからどうやらラウールも眠りについたようで、束の間の休憩かのように思えた...。
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り - 面白くて一気に読んでしまいました！お忙しいとは思いますがまた更新再開するのを待ってます！！！！ (2022年3月9日 23時) (
レス) id: 1d9129f20d (このIDを非表示/違反報告)
もえなっとう(プロフ) - Hano.さん» Hano.さん初めまして、ありがとうございます!これからもぜひお楽しみに...! (2021年11月11日 11時) (レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - この作品おもしろくて一気読みしてしまいました、、！これからも更新楽しみにしています！！ (2021年11月4日 12時) (レス) id: c16f775043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年10月20日 1時
