×月×日 ×時×分 教会 ページ1
「本当に産むのか。」
「勿論です。」
教会のチャーチベンチに腹の膨れた女性が座っている。側に立つ男性は、女性が愛おしそうに腹を撫でる様子をただただ見ていた。
「...子を産めば、体はもたんと医者に言われただろう。」
「私のことはもういいんです。この子が産まれてくれたらそれでいい...。
きっと神様も、産まれる子に罪はないことは分かってくださるわ。」
けほんと咳を1つ零す。男性は、全ての罪をこの女性が抱えようとしていることに気が付いた。
「...この子が幸せに生きられる世界は、私には作れなかった。
健やかに育ち、友達を作って、自分が生きやすい世界を見つけてほしいの。」
残酷な言葉だ、と男性は思った。
しかし、やせ細った手足と伏せ気味の眼差しが女性が酷く疲弊していることを表し、言葉にすることができなくなった。
おもむろに立ち上がった女性が、ステンドグラスの傍に膝を着く。ぽろりと零れた涙もそのままに震える両手を合わせる。
「誰か...誰かこの子だけでも助けて下さい。お願いです。
でなければ私は.....産まれてきた意味がなくなってしまう............。」
けほ、けほ
噎せたような咳の後に口から吐き出されたのは、汚らしい吐物でも真っ赤な血でもない。
ひらひらと落ちた花びらが、彼女の余命は幾ばくもないことを物語った。
綺麗な青空の中で天使に祝福されるように両手を広げた男が、ステンドグラスの中で笑っていた。
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り - 面白くて一気に読んでしまいました！お忙しいとは思いますがまた更新再開するのを待ってます！！！！ (2022年3月9日 23時) (
レス) id: 1d9129f20d (このIDを非表示/違反報告)
もえなっとう(プロフ) - Hano.さん» Hano.さん初めまして、ありがとうございます!これからもぜひお楽しみに...! (2021年11月11日 11時) (レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - この作品おもしろくて一気読みしてしまいました、、！これからも更新楽しみにしています！！ (2021年11月4日 12時) (レス) id: c16f775043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年10月20日 1時
