Attention#26 ページ26
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知念くんと二人きりの空間は、なんだか変な居心地だ。
大好きな人と一緒にいられて嬉しい反面、
朝の出来事からの不安は大きい。
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もう裕翔はいない。
何を言われたとしても、ここからは自分で先を導かなくてはいけないのだ。
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「…裕翔くんがいなくなって、寂しいの?」
何も言わなくなった私に痺れを切らしたのか、
知念くんがそんな言葉を口にする。
ここで裕翔の名前を出すということは、
朝の流れは続いていると解釈すべきなのか。
けれど、怯んだりしたらまた勘違いされてしまう。
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大好きな人に、一番言われたくないことを、
もう言われないように。
いっそのこと感情の赴くままにぶつけてしまえばいい。
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「ううん、違うよ。………あの、知念くん」
「ん?」
想像していたものとは違う返事のトーンに驚く。
おそるおそる目を合わせると、
朝に向けられた蔑んだ棘とは正反対に、優しい瞳が携えられていた。
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「いつから、いたの?」
「Aが裕翔くんに告白されて抱きしめられる前から」
鋭い彼のことだから、
私がそういうのを見られたくないのは分かっているはずなのに。
あえて淡々と言ってのけたのは、
まだ機嫌がよくないことの現れなのかとまた不安になる。
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「裕翔くんに乗り換えたんでしょ、って言った後、
教室に行かずに影からAのこと見てた」
行かなかったというか、行けなかった。
彼はそう訂正した。
「そのあと裕翔くんが来て、正直二人が一緒にいるとこ見たくなかったから、
ゲームでもして気を紛らわそうと思ったんだけど…」
言いながら知念くんは私に近づく。
目の前まで来ると、切なげに笑った。
「無理だった。
裕翔くんに抱きしめられてるとこ見て、焦った」
まるで自分は情けないとでも言うように自嘲的な笑みを浮かべた彼。
そんな風に思わせてしまった私は、
知念くんの何なんだろう。
"焦り"なんて感情を、知念くんが抱くはずないって心のどこかで思ってた。
ただ気持ちを表現することが苦手なだけ。
遠回りで拙いけれど、確かな愛情を注がれていたはずなのに。
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悠輝柊桜(プロフ) - 初めまして!完結おめでとうございます。もし良かったら少しでもいいので続編書いていただけないでしょうか?ご検討頂けたら嬉しいです。 (2018年4月2日 11時) (レス) id: 000d5f7e93 (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - perutc3010さん» ありがとうございます(><)微力だなんてとんでもない…!私にとってはすごく心強いです!ご協力お願いします! (2018年4月1日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - りょーちゃんさん» ありがとうございます(><)その言葉に救われます…!ぜひご協力お願いします! (2018年4月1日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
perutc3010(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく拝読しております。微力ながら違反報告に協力いたします。これからも更新頑張ってください (2018年3月31日 7時) (レス) id: 52470abde8 (このIDを非表示/違反報告)
りょーちゃん(プロフ) - もえあ様の作品本当に大好きです。ツンデレ彼氏の妬かせ方、本当に大好きでした。なので、運営の通報協力します!!!これからも、更新等々がんばってください!! (2018年3月30日 23時) (レス) id: 00bf3b3a54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もえ乃 | 作成日時:2016年11月26日 22時