妬いてください#05 ページ5
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「知念くん!次は移動教室だから一緒に、」
「無理」
「なんでっ…あ、」
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今回もダメか。
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同じクラスの山田くんと、その隣に並ぶ知念くん。
私もあなたの隣に行きたい。
そう素直に言えたなら、何か変わるのかな。
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「俺と一緒に行く?」
突然耳元で声が聞こえた。
驚いて動きを止める。
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「伊野尾くんっ」
「びっくりした?」
ふんわりと笑う優しい顔は、さっきの知念くんとは正反対で。
そういえば、知念くんがそんな顔見せてくれたのって、何か月前かな?
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「知念、相変わらず冷たいね」
さっきのほわほわした印象とは打って変わり、冷たく言い放つ。
「他の男と一緒に行動してたら、ちょっとは妬くんじゃない?」
はい、と差し出されたのは、
白くてきれいな女の子のような…手。
いいのかな、繋いじゃっても。
そんなことを思いつつ、
遠慮がちに手を重ねる。
これはあくまでも、
妬かせるための作戦だから。
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「じゃ、行こっか」
優しく手を引かれた。
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伊野尾くんより半歩後ろをゆっくりと歩く。
すると突然立ち止まって振り返る。
絡み合った視線。
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「隣、おいでよ」
「え、あ…うんっ」
手を繋いだくせに言うのもあれだけど、
ほんの少しの罪悪感で隣を歩けなかったのかもしれない。
だけどなんだか、伊野尾くんの隣って落ち着く。
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「ねぇAちゃん、
そんなに見つめられると…、恥ずかしいんだけど」
困ったような顔で微笑む、その優しい表情。
「えっと…見つめてたつもりはないんだけど、」
繋いでない方の手で顔を隠す伊野尾くんがなんだかおかしい。
クスクスと笑みをこぼす私。
当の彼には軽く睨まれてしまったけど、それがまたおかしくて、
最後は2人、顔を見合わせて笑った。
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談笑しながら移動先の教室に着くと、
繋いでいた手を離しながら伊野尾くんが振り向いた。
「せっかくだしさ、帰りも一緒に教室まで行こうよ」
「え、でも…」
「ふふ、決まりね!」
そう言い残して席の方へ行ってしまう。
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「…!」
バチッ
視線が絡む、そんな音が聞こえたような気がした。
澄んだ目をした彼は、こちらを見ていた。
珍しい。
知念くんと目が合うなんて。
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美香 - 初めまして!めっちゃ知念君格好いいわ!完成おめでとうございます! (2018年1月31日 22時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
衣月(プロフ) - 知念担かつ弓道部員なのでこのお話すごくいいです!更新頑張ってください! (2018年1月7日 19時) (レス) id: 393bdf7cd9 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 読みましたよ、~!更新おつかれさまでした。もちろんです!ずっと応援してますよ!頑張ってください! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - の んさん» 書き直すかわりにafterstoryを追加しましたので、よければ読んでみてくださいね(o^∀^o)ぜ、全部…!?わわわっ、嬉しい限りですー!ありがとうございます☆これからも応援お願いします! (2017年12月30日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 察しがつきました ! 笑 そんなことないですよ!作品を読んでて知念担のわたしにとってはめっちゃきゅんきゅんしました!笑 もえあさんの作品すごく好きですべて読ませていただいているのでこれからも頑張ってください!長文失礼いたしました。 (2017年12月30日 18時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もえ乃 | 作成日時:2016年6月4日 21時