参りました#37 ページ37
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体が熱い。
おそらく赤みを帯びているであろう頬を包むように、掌を当てる。
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どうして慧は、あんなことをしたんだろう。
飄々としているくせに、腰に回された腕はがっしりとしていて、
男らしかった。
まだ感覚が鮮明に残って消えない。
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涼しい夕暮れの風に、
そのまま吹き飛ばされたい気持ちだ。
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「A、おっそい」
校門まで行くと、
腕を組んで口を尖らせた碧衣が待っていた。
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「ごめん、」
小走りで駆け寄り、隣に並んで歩き出す。
そっと振り返って、図書室の辺りを見上げたけれど、
当然明かりは消えていた。
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「なんか暗いけど、伊野尾と何かあったわけ?それとも知念?」
碧衣はいつも正直で唐突だ。
思ったことがあればすぐ口に出すところは彼女の長所でもあり短所でもある。
言おうか言わまいか迷って、結局やめた。
「何もないよ、疲れてるのかなぁ」
へらっと笑ってごまかす。
サバサバしている彼女だけど、根はとっても優しい。
きっと、私の話を真剣に聞いて一緒に悩んでくれる。
だからこそ言えない。
大好きな親友を、
私の自分勝手な事情で困らせることなんてできないから。
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「部活ガチ勢が委員会で部活潰されたら、そりゃ暗くもなるかー」
何かを悟ったような目を伏せて、冗談めかした碧衣。
意思疎通、なんて言ったら都合良すぎるけれど、
淀んだ空気を明るくしようとする碧衣には感謝しかない。
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「…大好きだよ」
「ほんと部活好きよね、あんた」
「碧衣のこと」
「はぁー?」
なにそれ、と吹き出すように笑う彼女は、まんざらでもなさそう。
私は良い親友を持ったものだ。
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悩みはいつか、時間が解決してくれる。
だから今は大切に、
心の奥底に仕舞い込んだ。
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美香 - 初めまして!めっちゃ知念君格好いいわ!完成おめでとうございます! (2018年1月31日 22時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
衣月(プロフ) - 知念担かつ弓道部員なのでこのお話すごくいいです!更新頑張ってください! (2018年1月7日 19時) (レス) id: 393bdf7cd9 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 読みましたよ、~!更新おつかれさまでした。もちろんです!ずっと応援してますよ!頑張ってください! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - の んさん» 書き直すかわりにafterstoryを追加しましたので、よければ読んでみてくださいね(o^∀^o)ぜ、全部…!?わわわっ、嬉しい限りですー!ありがとうございます☆これからも応援お願いします! (2017年12月30日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 察しがつきました ! 笑 そんなことないですよ!作品を読んでて知念担のわたしにとってはめっちゃきゅんきゅんしました!笑 もえあさんの作品すごく好きですべて読ませていただいているのでこれからも頑張ってください!長文失礼いたしました。 (2017年12月30日 18時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もえ乃 | 作成日時:2016年6月4日 21時