ツンデレ彼氏の妬かせ方〜Yuri.C〜

参りました#36 Kei ページ36

.






.






気まずそうに顔をそらして、

図書室から去っていくA。




.




Aと知念は無事に仲直りした。



俺はそれに貢献した。

それでいいんだ、いいはずなんだ。



もう自分にチャンスは回ってこない。諦めよう。





.






一体、その決意はどこに行ってしまったんだろう。





抱きしめるつもりなんてなかったのに。


どうして俺は、

Aを困らせてしまったんだろう。





.





.





俺は知念もAも大好きなんだ。




付き合い始めた頃は仲が良かった2人がすれ違っているのなんて見ていられなかったから、

仲直りさせよう、って手助けしただけ。




.




少しでもAのそばにいられて嬉しかった。

本物の彼氏じゃなくても、十分幸せだった。








.








これを機に、

遠くから2人を見守ることにしよう。






.






そう決めたのに。






.






.






.






Aが好き。





だけど、期待させるような反応するAは嫌い。



ちょっと触れただけで赤くなったり、すぐに照れたり。

俺ってもしかして脈ありなのかなって思うのに。



いつも決まって言う。

『私には知念くんだけ』って。





.






Aはムカつくぐらい真っ直ぐな恋をしてた。




なら、その物語に俺は必要ない。

それが宇宙の法則で、この世界の秩序というものだ。





.






.






.







誰もいなくなった図書室で、物思いにふける。





.





やっぱり俺は、潔く諦められるほど大人じゃないみたいだ。

参りました#37→←参りました#35

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す