参りました#34 ページ34
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「Aに侑李って呼んでもらえたから、自分の名前が大好きになった」
教室まで歩きながらさらっと言われたひと言は、
私にとって破壊力抜群だった。
そんなこと言ってくれるなら、
もっと早く呼んでおけばよかったな…なんて。
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“きゃーーーーっ!!”
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突然聞こえてきた黄色い声。
あまりの大音量にもちろん私も侑李も驚いて、
良い感じのムードは一気に消えていった。
よく見ると自分たちの教室に女子がたくさん集まっている。
侑李と顔を見合わせて頷き、2人で教室に入る…と。
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「…あ、」
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女子に囲まれていたのは、
「…慧?」
メガネを外した慧だった。
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「あ、Aおはよー。
ねぇメガネ外してみたんだけど、どうかな?」
席の周りに集まった女子をかきわけて、教室の入り口の方へやってくる。
「コンタクトにしたの。
メガネ外した方がかっこいいって、Aに言われたから」
「…えっと、」
「ほら、一緒に図書館行ったとき」
「…………」
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確かに言った。それは紛れもなく本心で。
「…似合ってない、かな?」
首を傾げながら聞く彼に、
どう答えればいいのか分からない。
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似合ってる。たったひと言だけど、言えない。
それは、罪悪感から?
侑李と仲直りしたらもう慧には用無し?
そんなの、あんまりだ。
都合よすぎる。
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「……えっと、」
「伊野ちゃん、Aが困ってるよ」
隣にいた侑李が前に出て言った。
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侑李はくるりと振り返って、
「Aの性格は知ってる。
似合ってるって言ったのも、スッと出た本心でしょ?
大丈夫。もう僕は、昨日までの僕とは違うよ」
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大丈夫。
その言葉には強い意志を感じた。
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だったら私も、それに応えなければならない。
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そういえば、今日は図書委員の仕事がある。
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「慧、放課後、
…委員の仕事、忘れずに来てね」
『話したいことがある。』
そう目で訴えたら、慧は頷いてくれた気がした。
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罪滅ぼしなんかじゃない。
自分で蒔いた種には、しっかり責任を持たなきゃ。
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美香 - 初めまして!めっちゃ知念君格好いいわ!完成おめでとうございます! (2018年1月31日 22時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
衣月(プロフ) - 知念担かつ弓道部員なのでこのお話すごくいいです!更新頑張ってください! (2018年1月7日 19時) (レス) id: 393bdf7cd9 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 読みましたよ、~!更新おつかれさまでした。もちろんです!ずっと応援してますよ!頑張ってください! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - の んさん» 書き直すかわりにafterstoryを追加しましたので、よければ読んでみてくださいね(o^∀^o)ぜ、全部…!?わわわっ、嬉しい限りですー!ありがとうございます☆これからも応援お願いします! (2017年12月30日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 察しがつきました ! 笑 そんなことないですよ!作品を読んでて知念担のわたしにとってはめっちゃきゅんきゅんしました!笑 もえあさんの作品すごく好きですべて読ませていただいているのでこれからも頑張ってください!長文失礼いたしました。 (2017年12月30日 18時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もえ乃 | 作成日時:2016年6月4日 21時