妬いてください#04 ページ4
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彼も最初から冷たかったわけではない。
むしろ優しかった。
付き合い始めてからは一緒に登校するのが日課で、
A、おはよう。
私の名前を呼んでふんわりと微笑み、手をぎゅっと繋いで隣を見れば目が合う、
基本は毒舌だけどそれも不器用な彼なりの愛情表現だと思っていた。
だけど…、
気が付けば朝は1人。気が付けば塩対応。
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本を閉じて、元の位置に戻す。
暗い考えはやめよう、
そう思いながら後ろを振り向いた。
「…悔しい?」
至近距離に伊野尾くんの顔があって、
ほんの少し声を上げてしまう。
何のことかさっぱり、という顔をしている私に、
伊野尾くんは言った。
「知念の彼女はAちゃんなのにね、」
思わず目を見開いてしまう。
何で事情を知ってるの、って言いたかった。
けど、
同じクラスだもんね。
あんな態度取られてたら分かっちゃうよね。
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「悔しいよ…、」
告白してくれたのはそっちなのに、
好きになるだけならして冷たい態度取って。
知念くんはきっと、分かっててやってる。
何をしても私は離れないって、そう思ってるに違いない。
たしかにそうだ。
大好きだから、離れることなんてできない。
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「俺だったら、そんな顔させないけどね」
「えっ、」
ゆるゆると笑ったその顔は、
少し前の知念くんと重なった。
ダメだなぁ私。
何でもかんでも知念くんに繋げちゃう。
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「ねぇ…
嫉妬とか、されたいって思わない?」
さっきまで静かだった館内が、
ほんの少しざわめき出した。
それに比例するようにざわめき出す、私の胸。
「え、されたいっ…」
思いがけない提案に、迷いのない返事をしてしまう。
「ははっ、即答〜」
じゃあさ、と言いながら彼はかけていたメガネを外した。
「俺が協力してあげよっか」
伊野尾くんはにっこり微笑む。
「でも、」
「されたいんでしょ?嫉妬」
俺に任せて、とでも言いたげな表情で私を見ている。
「じゃあっ、お願い、します」
「ふふ、よろこんで」
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「あ、ねぇ伊野尾くん」
「ん?」
首を傾げる彼の耳元に顔を寄せ、
「メガネ外した方が、かっこいいよ」
赤く染まる彼の頬。
作戦はまだ、始まったばかり。
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美香 - 初めまして!めっちゃ知念君格好いいわ!完成おめでとうございます! (2018年1月31日 22時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
衣月(プロフ) - 知念担かつ弓道部員なのでこのお話すごくいいです!更新頑張ってください! (2018年1月7日 19時) (レス) id: 393bdf7cd9 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 読みましたよ、~!更新おつかれさまでした。もちろんです!ずっと応援してますよ!頑張ってください! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - の んさん» 書き直すかわりにafterstoryを追加しましたので、よければ読んでみてくださいね(o^∀^o)ぜ、全部…!?わわわっ、嬉しい限りですー!ありがとうございます☆これからも応援お願いします! (2017年12月30日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 察しがつきました ! 笑 そんなことないですよ!作品を読んでて知念担のわたしにとってはめっちゃきゅんきゅんしました!笑 もえあさんの作品すごく好きですべて読ませていただいているのでこれからも頑張ってください!長文失礼いたしました。 (2017年12月30日 18時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もえ乃 | 作成日時:2016年6月4日 21時