ツンデレ彼氏の妬かせ方〜Yuri.C〜

妬いてください#16 Yuri ページ16

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片手に裕翔くんの落し物を持って、弓道場まで走る。


なんだかんだ言ってここへ来るのって初めて。






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「失礼しまーす…。裕翔くん、落し物が…」






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ドアを開けたらAがいた。

裕翔くんに頭を撫でられて、赤面している…Aが。







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「あーそれ探してたの！よく俺のだって分かったね、あ…名前書いてるからか！


ありがとね、知念」





お礼の言葉も耳に入らないくらい、つらい現実だった。






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いつも『知念くん！』って呼びながら向けてくれた笑顔は、僕以外の男に。

嬉しそうな顔に見えるのは、僕だけ？



照れてるように見えるのは…、僕だけ…？






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「うん……じゃあね」






素っ気なく言うと、ここに来る時よりも全速力で走る。



あんな光景思い出したくない。

邪念を振り切るつもりで走った。





…一緒に帰ろう、なんて…言えない。






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「Aのバーカ…」




もう知らない、って言えたらどんなに楽なことか。

それが言えないから困ってるというのに。





帰り際にチラッと見たAの顔が、ほんの少し…悲しそうな気がして、

今すぐにでも戻りたかった。




そう思うなら行けばいい、戻ればいい。

結局僕は口先だけ。







「好き」って言いたいのに「うざい」



口から出るのはいつも正反対の言葉。言いたくて言ってるんじゃない。





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なんでこうなる。

どこから僕は、間違えたんだろう。

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