ノスタルジア (ページ14)

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夜中に似つかわしくない荒めのエンジン音が聞こえて、人が駆け寄ってくる気配がして立ち上がる。

「北斗〜、無事か〜」

走ってきた割に呑気な声で、その人が電話相手の「ジュリー」さんなんだと悟った。立ち上がった私を怪しげ爪先から頭の先までジロジロと見る。

北斗さんの友達とは思えない少々破れすぎなジーンズにハイブランドのピアス、明るめに色落ちした髪色…...、派手だな。

「あ、電話の。北斗どこ？」
「奥にいますっ、｣

ずんずんと奥へ進むと、さっきよりは落ち着いたが多少まだ息の荒い北斗さんがジュリーさんの顔を見て安心したように薄く笑った

「お前大丈夫？風邪？」
「樹…なんで？」
「いやこの人がお前のスマホで電話かけて来たんだよ」

と、私のことを遠慮もなく人差し指で指差す。

……こんな深夜に呼び付けたのは申し訳ないけど、にしてもちょっと礼儀とかあったりしない？普通はさ...。

「とりあえず冷えピタとポカリ買ってきたから、上行くぞ」

そういって北斗さんの肩を「重っ」と自身の肩にかけると階段をゆっくりゆっくり登っていく。

とりあえず私は帰っていいのだろうか。
ぼーっと、階段下に突っ立っていると

「あんたも来て、俺何もわかんないから」

後ろを少しだけ振り返って、ぶっきらぼうにそう言った。