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めんどくさいなと思いながらも、行動を起こさない限りは離してくれそうもないそいつを睨みつけながらカバンから携帯を取り出す。
彼とのトークルームは友人のもので埋もれていてすぐに見つからない。
スワイプする回数が、流れていく友人の数が、彼との距離を表しているようで胸が痛んだ。
ようやく見つけた彼とのトークルームを開いて電話をかける。
もしかしたら出ないかもしれない、でもそしたら私は帰れない
気まずさの狭間でジレンマに似たそれが、声が聞こえないように電話を切ろうとする。
いつもだったら叩ける軽口も許さない空気が辺りを包む。
1人携帯の画面をじっと見つめる私を見て、そいつは私の手から携帯をぶんどった。
｢かけてたんなら、早く貸せよ｣
何も言わない私を見て調子を取り戻したのか、さっきよりも声が明るい。
なんだこいつ、こっちがしんどい気持ちでいるのにふざけてんなぁ！！
携帯1台で済むなら安い方かもと思った私は、バレないように掴まれた腕を振りほどく。
はｯ、なんだ雑魚じゃん
簡単に離れた腕に鼻で笑っていると、嫌なタイミングで1番聞きたくなくて聞きたかった声が聞こえた。
｢…あ、もしもし｣
すこし掠れたような声が耳を撫でる。
息が詰まるような感覚がして、私の姿なんて彼には見えないのに声が聞こえないように耳を背ける。
そんな不審な態度をとる私にそいつは気づいたような素振りはなく、煽るような声でここに来るよう喋る。
生贄は私でこいつがどうなってもいいなら、なんて話が聞こえるけど、そんなの無意味な仮定法きっと役には立たない。
だって、きっと彼の中の優先順位に私は入っていないから
折角逃げれそうだったのに、予想外に電話に出た彼のおかげで私はそいつの手錠でまた行動に制限がかかる。
あぁ、ほんとになんてついてないんだろう
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天天(プロフ) - 好きです。杏夏さんの世界観っていうか書き方というか…ドストライクです！ありがとうございます。これからも頑張ってください！ (2022年10月10日 21時) (
レス) @page23 id: c861e4568e (このIDを非表示/違反報告)
なな - この話、面白いです！更新待ってます。これからも頑張ってください。 (2021年7月15日 18時) (レス) id: eb678d68cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏夏 | 作成日時：2021年4月2日 22時
