怪しい…？ ページ8
ci side
女は目を細めて口に手を当て、ゆっくりと笑い出した。
肩を震わせながら小さく笑う姿に少々の怪しさを感じながらも黙って見ていれば、女はこちらを見て満面の笑みを浮かべた。
「お待たせしましたー！」
店員の元気の良い声で女を含めた俺たちは、店員の方を向いた。
ケーキボックスの中でも特に大きい物を1つ運んで来た店員は、女の前に差し出していた。
黒い財布を出した女は会計を済ませると商品を受け取り、ゆっくりとした足取りで扉の方へ歩いて行った。
それと同時に俺たちが頼んだ分のケーキも差し出され、こちらも早々に会計を済ませ、女に続くように店を出た。
店を出たすぐそこに女は居て、俺たちが出て来たのを確認すると、優雅な動作で近寄って来た。
よく見ると、ケーキボックスを持っていない方の肩には大きな鞄が掛けられていた。
俺たちの前で止まると、お辞儀をして形の良いその唇を開いた。
「先ほど会ったばかりなのにすみません。軍基地までの道案内をお願いしたいのですが」
と顔に笑みを浮かべて女は言う。
流石に違和感を感じたのか、大先生の前にショッピ君が立って言う。
「軍基地はこの国の人間であれば場所ぐらい知ってるはずっすよね。この国の人間でない人に場所は教えられません」
女は少しも動揺せずに次の言葉を紡ぐ。
「暫く用事でこの国を離れている間に場所が変わったようでして」
確かに、10年前のこの国の景色と今のこの国の景色は、全く違う。
スラムは極端に減ったし、街も活気付いている。
それもこれもこの国に革命を起こしたグルッペンさん率いる幹部のお陰だ。
その頃、俺やショッピ君、ゾムさんやエミさんはまだ幹部ではなかったのだが、その話は当時の幹部たちによく話を聞く。
我々国はあの瞬間に生まれ変わったのだと。
だから、幹部は総じて国民からの人気が高い。
まあつまり、この女の発言はスパイなら満点の回答だろう。
しかし、ショッピ君も負けじとそれに言い返す。
「なら、何の用なのか教えて貰えますか？用事も無いのに軍基地に来られても困るんです」
「兄に会いに行きたいんです」
そこで大先生がハッとしたように、顔を強張らせた。
冷や汗がダラダラと垂れていて、どことなく顔も青白い。
「あの…お名前は…？」
そう聞いたのはショッピ君ではなく、大先生だった。
女は更に笑みを深くして、口を開いた。
「A・フューラーと申します」
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スノードロップ(プロフ) - なめらかさん» 優しいお言葉有難うございます。更新早めて行けるよう努力します (2021年10月4日 13時) (
レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 読みやすくて続きが気になって一気に読んでしまいました…！続き楽しみにしてます！ (2021年10月3日 23時) (レス) @page12 id: bcf5f4df92 (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 雪さん» 有難うございます。更新が早くなるよう、頑張っていきます (2021年9月22日 22時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 好きです！続き楽しみに待ってます！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 4b6a02972f (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 銀狐さん» 温かい言葉を有難うございます！頑張らせていただきます！ (2021年9月14日 17時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノードロップ | 作成日時：2021年9月13日 1時
