妹、帰還 ページ5
you side
「さてと、そろそろ出るかぁ」
1週間前に出した手紙はもう兄様の手元に届いたところであろう。
まずはホテルを出て、その後甘味でも買ってから帰ろう、と計画を立てる。
食べ物を土産で持って帰るのは、毒味という手間が増えて面倒なのだが、正直兄様が喜ぶ土産なんて甘味くらいしか思い当たらない。
ここら辺で甘味といったら何なのだろう？
携帯を取り出して色々調べたがよく分からなかった為、結局、チェックアウトの際にホテルマンに聞けば良い、という結論に落ち着いた。
もともと、各地を転々としていた為移動しやすいように荷物は最小限に抑えてある。
どうせ居ても、1ヶ月が最長くらいだったはずだ。
実際、此処での滞在は2週間だった。
まあ、そういう訳で、荷物はもともと少なく十数分で片付けは終わった。
荷物を肩に担ぎ、このホテルの鍵であるカードを持って、部屋を出てエレベーターへと歩く。
別段急ぐ必要も無いし、街を軽く散策してみるのはどうだろうか。
ああ後、兄様以外の幹部様方にも何かお土産を買った方が良いのか？
その場合は食べ物は避けよう。
私に絶対の信頼を置いてくれている兄様と違って、初対面なのだから、いきなり食べ物なんて貰っても食べないだろう。
何て取り止めのないことを考えながらエレベーターのボタンを押す。
小気味好い軽い音を立てながら、エレベーターが止まり、鈍い音を立てて扉が開く。
そこから出てきた紫のストールの男性に軽く会釈をしながら、入れ替わりでそこに乗る。
「なかなかかっこいい人だったな」
と扉が閉まったのを確認して小さく呟く。
顔だけならウチの兄様も負けていないかもしれないが、あの性格だ。人は寄り付かない。
いやなんなら、そこらの猛獣も寄り付かない。
そんなわけで、時々兄様から届く手紙に仲間のことが面白おかしく綴られているのを読むと、どうしても彼の妄想ではないか、と兄様の頭を心配してしまう私は悪くない。
確かに、昔からカリスマ性と統率力だけは無駄に高かったのを思い出す。
国やら部下やらをまとめている様子ならまだ想像がつきそうなものだが、『仲間』となるとそうもいかないだろう。
あの兄の威圧に負けず、一緒に並べる『仲間』なんて…。
「もしかして、兄様と同じ人種…？」
自分の考えていたことが予想以上に恐ろしくて、考えなかったことにした。
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スノードロップ(プロフ) - なめらかさん» 優しいお言葉有難うございます。更新早めて行けるよう努力します (2021年10月4日 13時) (
レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 読みやすくて続きが気になって一気に読んでしまいました…！続き楽しみにしてます！ (2021年10月3日 23時) (レス) @page12 id: bcf5f4df92 (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 雪さん» 有難うございます。更新が早くなるよう、頑張っていきます (2021年9月22日 22時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 好きです！続き楽しみに待ってます！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 4b6a02972f (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 銀狐さん» 温かい言葉を有難うございます！頑張らせていただきます！ (2021年9月14日 17時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノードロップ | 作成日時：2021年9月13日 1時
