妹の存在 ページ4
tn side
一通りグルッペンを叱り終わった頃にはもう他のメンバー皆は会議の為に集まっていた。
いつもの定位置に座れば、「お疲れ様」と苦笑いのひとらんが労いの言葉をかけてくれる。
しかし、俺を疲れさせた原因である当の本人は、いつもの顔に戻って、自分の席に着いていた。
「さて、それでは諸君、本日の会議を始める」
と、何事も無かったように始めようとするものだから、咄嗟に口を挟む。
「おい。その前に、グルさん。さっきの手紙のことが先ちゃうか？」
そう威圧を含めた言葉をグルッペンに向ければ、いつものように邪悪な顔をして、そいつは笑顔を浮かべた。
「まあ焦るな、トン氏。お前らにも話そうと思っとったから、今日の会議の内容はその手紙の話や」
そう言いながら、先ほどから机の上に置いてあった封筒をゆっくりとした動作でこちらに掲げてみせた。
封筒の表には丁寧な字で『グルッペン・フューラー様』と書かれており、紺色のインクがムラも滲みも無く綺麗に字を浮き立たせていた。
細い字は綺麗に一列に並び、書いた者の几帳面さが窺える。
その手紙を全員が認識したところで、グルッペンは笑みを残した唇を開いた。
「妹がこの国に帰ってくることになった！出迎えてやってくれ！」
大声で言い放ったグルッペンの言葉に会議室にいた幹部たちの時が止まった気がした。
ある者は困惑で固まり、ある者は空いた口が塞がらず、またある者は現実逃避とでも言いたげに窓の外を眺めていた。
その中で正気を持ち直した者と興味が勝った者たち数名がグルッペンに詰め寄った。
「妹って誰のやねん！？」
流れ的にグルッペンの妹であるのはゾムも理解しているはずだが、やはりどこか信じられないのだろう。
「俺のに決まってるだろう？」
「いくら俺でもグルッペンと同じ性格した女の子なんて無理やわ！」
そう嘆くのは女好きの屑大先生だが、俺もグルッペンと同じ性格した奴がこの世にもう1人いると考えただけでも頭が痛い。
大先生のその言葉に俺と同じように静かに頷くのはオスマンとひとらんらんだ。
2人は何とか正気を持ち直したようで更にグルッペンに詰め寄っていた。
「グルッペン、俺らそんなの聞いてへんよ！」
「そんな大事な話、ちゃんとしておくべきだろ！」
グルッペンはその赤い瞳を細めて愉快そうに一通り笑った後に、会議室にいる俺たち全員に言葉を放った。
「とりあえず手紙見るか？」
「「「「見る！！！」」」」
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スノードロップ(プロフ) - なめらかさん» 優しいお言葉有難うございます。更新早めて行けるよう努力します (2021年10月4日 13時) (
レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 読みやすくて続きが気になって一気に読んでしまいました…！続き楽しみにしてます！ (2021年10月3日 23時) (レス) @page12 id: bcf5f4df92 (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 雪さん» 有難うございます。更新が早くなるよう、頑張っていきます (2021年9月22日 22時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 好きです！続き楽しみに待ってます！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 4b6a02972f (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 銀狐さん» 温かい言葉を有難うございます！頑張らせていただきます！ (2021年9月14日 17時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノードロップ | 作成日時：2021年9月13日 1時
