確保 ページ19
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総統室からグルさんの部屋へと続く暗い色の扉に目掛けて体をぶつける。
ドンッと鈍い音がして、扉が若干歪み、金属製の鍵や蝶番が変形した。
この基地内、いやこの国で最も命を狙われ易く最も高い地位にいる彼の部屋はどこの部屋よりも頑丈な作りになっている。
特注で作られたこの扉も、そこらの人間が聞けば目玉を飛び出させる事くらい余裕な金額が使われていたりする。
しかしこの扉、度々ゾムやコネシマやシャオロンなど、戦闘狂たちによって打ち抜かれる事数十回。
どれだけ侵入者対策をしてもそれを内側から破っていくのが我々の国の幹部であり、それにいちいち付き合っている俺にもこの扉くらいなら時間さえかければ余裕でぶち抜けるわけである。
ちなみに、この扉の修理費や買い替えの費用だけで、きっと安いマンションなら棟買いできるだろう。
歪んだ扉に向かって更に数回体をぶつければ、馬鹿になった鍵がガランッと鈍い音を立てて落ち、蝶番もその役割を果たさなくなっており、扉の開閉になんの障害も無くなった。
「有難うございました。お体に異常はございませんか？」
頭を下げたAさんは申し訳ないと言う思いが強いのか、扉を打ち続けていた肩を心配そうに眺めている。
仲間はあんな性格である上に、俺自身高い地位にいる為、なかなか心配される事は少なく、新鮮な気持ちを味わった。
「ああ。これくらいでどうこうなるほど柔やないで」
そう言えば彼女は、下げていた眉を上げ、口角をうっすらと持ち上げて笑った。
「そうですね。トントン様の事は強いお方だと聞いておりましたし、心配は杞憂そうですね」
それだけ言うと扉に向き合って、先程と同様にドアノブに手を掛けて、それをゆっくりと回した。
俺の甲斐あってか、扉は甲高い悲鳴を上げながらも、するりと開いた。
扉の先に居たのは、幸せ顔でケーキを頬張っている騒ぎの元凶であった。
俺たちが扉を壊して室内に入って来た事に一瞬驚いて目を見開かせたものの、次の瞬間には口の中にケーキが放り込まれていた。
「え、グルさん？」
「兄様。頼みますから、脱走なんてみっともない真似なさらないで下さい」
Aさんは、まるで初めからここにいると分かっていたかのように動揺すらせずに言葉を紡いでいく。
「Aがおったら、逃げにくくなるんか。盲点だったな」
と顎に手を当ててブツブツ呟いているグルさんに隣のAさんは呆れて声も出せていなかった。
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スノードロップ(プロフ) - なめらかさん» 優しいお言葉有難うございます。更新早めて行けるよう努力します (2021年10月4日 13時) (
レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 読みやすくて続きが気になって一気に読んでしまいました…！続き楽しみにしてます！ (2021年10月3日 23時) (レス) @page12 id: bcf5f4df92 (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 雪さん» 有難うございます。更新が早くなるよう、頑張っていきます (2021年9月22日 22時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 好きです！続き楽しみに待ってます！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 4b6a02972f (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 銀狐さん» 温かい言葉を有難うございます！頑張らせていただきます！ (2021年9月14日 17時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノードロップ | 作成日時：2021年9月13日 1時
