捜索 ページ18
you side
総統室というプレートのかけられた重厚な佇まいの扉が放っている威圧感は凄まじい。
私は、ここに来てもう何度も足を運んだ総統室にやって来ていた。
自分も用事があるから、とわざわざ着いて来て下さったトントン様は、扉を見て更に深く溜め息を吐いた。
兄様が迷惑を掛けているという事実を申し訳無さを感じて、心の中でひたすらに謝っておく。
本来であれば口に出して謝るのが筋なのだろうが、彼には兄様の件でここに来てもう数え切れないほど頭を下げ、その度に『大丈夫やから』と返される言葉が痛くてもう言葉には出せなくなってしまっていた。
何なら、彼が今持っている書類も元を辿れば兄様の提出期限切れの書類であったりする。
先日、総統室を整理している際に出て来た期限切れの書類の山の一部なのだ。
更に、聞いた話では脱走は今回が初めてでは無く、何なら一度や二度の話でも無いと言う。
その事実に無意識に胃がキリキリと締まり、青ざめてしまった私に「Aさんのせいやないから」と、言って下さったトントン様はやはり優しい。
私だって拾われる人を選べるのなら、この人のような方を選びたかった。
ちなみに何人かの幹部様方は兄様捜索のために街に駆り出されたようで、現在基地におられる幹部様はいつもより若干少ないらしい。
目の前の扉を軽くノックをして、ドアノブに手を掛ける。
「失礼します」
期待はしていなかったが、生憎部屋主からの返事は無い。
扉をゆっくりと押せば、中の丁寧に並んだ机達が目に入る。
その奥には質の良い机の上に高価なペンや紙が散乱している。
すでに書類が数枚机の上に溜まっており、思わず溜め息を吐いた。
更にそこから奥に目をやれば、兄様の自室へと繋がる暗い色の扉が綺麗に閉まっている。
「わざわざ総統室に何の用なんや？」
後ろから掛けられた声に口元に笑みを称えて、言葉を返す。
「兄様を探しに…ですね」
不思議そうな顔をされているトントン様をおいて兄様の自室の扉を開こうとする。
しかし、鍵がかかっているようで、外からは開けられそうに無い。
どうにか開かないかとドアノブを数回捻るものの扉は頑丈でびくともしない。
「トントン様、私がきちんと弁償致しますので、この扉蹴破って頂けませんか？」
その言葉にトントン様は目を見開いて固まった後に、吃りながら言葉を返してくれた。
「ああ、ええけど」
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スノードロップ(プロフ) - なめらかさん» 優しいお言葉有難うございます。更新早めて行けるよう努力します (2021年10月4日 13時) (
レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 読みやすくて続きが気になって一気に読んでしまいました…！続き楽しみにしてます！ (2021年10月3日 23時) (レス) @page12 id: bcf5f4df92 (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 雪さん» 有難うございます。更新が早くなるよう、頑張っていきます (2021年9月22日 22時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 好きです！続き楽しみに待ってます！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 4b6a02972f (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 銀狐さん» 温かい言葉を有難うございます！頑張らせていただきます！ (2021年9月14日 17時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノードロップ | 作成日時：2021年9月13日 1時
