兄妹の再会 ページ11
em side
「A…甘味をくれ」
グルッペンさんは大先生によって前に押し出された女性にそう声をかけた。
その言葉に驚愕を隠しきれなかったのは私だけではないだろう。
“A”といえば、先日グルッペンさんに見せて頂いた妹さんの手紙の最後に綴られていた名前。
要は、グルッペンさんの妹さんの名前なのだ。
つまり目の前にいる女性はグルッペンさんの妹さん、Aさんで違いないのだろう。
「あのですねぇ、兄様。長旅で疲れた妹へ掛ける第一声がそれなんですか。薄情ですね」
グルッペンさんの威圧感をものともせず、口からスラスラと嫌味を吐く彼女は凛としていて、彼とはまた違った威圧感を放っている。
「む…。ならAこそ、苦しんでる兄を見て甘味の一つもよこさないのは薄情だろ」
意味の分からないことをまるで正論かのように述べるグルッペンさんの様子に呆れたのは私やAさんやトントンさんだけではなかった。
「何が薄情ですか。というか兄様、私先程偶然耳に挟んだのですが…甘味が無くなったとかでお部屋で暴れていらっしゃったとか。まさかそんな事実ありませんよね？」
彼の言葉を軽くあしらったAさんの放った次の一言にグルッペンさんは分かりやすく硬直した。
「兄様？」
問いかけるその声は先程より低く、自白を促しているようだ。
冷や汗を垂らしながら目を泳がせる姿は一国のトップには到底見えない。
「ああ、事実や」
Aさんの問いかけに答えたのはグルッペンさんではなく、正気を取り戻したトントンさんだった。
トントンさんが事の詳細を懇切丁寧に教えていれば、Aさんは顔を顰めて、ついに額に手をやり唸り出してしまった。
「あの、本当申し訳ありません。いつもいつも兄が御迷惑を…。子供の頃からこうでして…」
そう頭を下げる彼女はきっと兄のせいで様々な苦労を経験してきたのだろう。
何だか、様になっていた。
正直、あの性格の彼の妹と聞いて彼と同じ戦争好き甘味好きの狂った方が来ると思っていた為、かなり拍子抜けしている。
それはこの場にある他の幹部も同じようで。
シャオロンさんなんて驚きすぎて、さっきから微動だにしていない。
ゾムさんは言葉にならない声を出してひたすら困惑している。
何ならトントンさんも正気に戻るまで狼狽えていた。
彼女は幹部たちを見回し、その口を開いた。
「えー、と。初めまして。グルッペン・フューラーの妹のA・フューラーと申します」
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スノードロップ(プロフ) - なめらかさん» 優しいお言葉有難うございます。更新早めて行けるよう努力します (2021年10月4日 13時) (
レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 読みやすくて続きが気になって一気に読んでしまいました…！続き楽しみにしてます！ (2021年10月3日 23時) (レス) @page12 id: bcf5f4df92 (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 雪さん» 有難うございます。更新が早くなるよう、頑張っていきます (2021年9月22日 22時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 好きです！続き楽しみに待ってます！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 4b6a02972f (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 銀狐さん» 温かい言葉を有難うございます！頑張らせていただきます！ (2021年9月14日 17時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノードロップ | 作成日時：2021年9月13日 1時
