過去の話 ページ1
物心ついた時には既に、スラムで仲間と同じようにゴミを漁って生きていた。
明日食うものどころか、今食うものさえ無いような暮らしだった。
街に行っては盗みを繰り返した。
盗み続けると目をつけられるから、毎度盗む場所を変えるのは少し面倒だった。
着る物なんて、そこらで死んで放置された平民の子供から剥ぎ取った。
自分用ではないから、少し大きかったり小さかったり…。
でも文句は言えなかった。
服は着れるだけで贅沢だった。
生成りの良い服を着た大人からは隠れろと、少し年上の子に教わった。
わざわざ国の端に位置するスラム街に足を伸ばす奴は、大抵自分たちを攫い、売り飛ばす為にやって来た商人だと。
また、国の中心には近づき過ぎるな、とも言われた。
貴族や王族の多い国の中心は平民ですら近づかない。
自分たちのようなスラムのガキは近づかない方が賢明だ、と。
仲間が死んでも悲しんではいられなかったし、そもそも仲間と思っていたのかどうかも怪しかった。
自分たちが生きていく為だけに集まった無法者の集団だ。
自分以外のことを考えてやる心優しい奴なんて、一人いれば多い方だった。
実際、自分の集団にはいなかった。
仲間が面倒になったと消えていく奴は少なくなかった。
特に初めて一人で盗みに成功した奴は必ずと言って良い程、次の日からその姿を見ることはなかった。
だからといって、欠けた奴を探すようなこともしなかった。
なんたって、そいつのことをちゃんと覚えている奴さえ、いなかったはずだ。
お互いの名前なんて知らなかったから、特に。
お互いの名前を知らない以前に名前なんてものが無い奴もいた。
何を隠そう自分がそうだった。
周りの奴の名前も知らないから、名前という存在は知っていても、それが実際いつ必要になるのか、どんな風に付けられるのかも知らなかった。
そんな私に転機が訪れる。
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スノードロップ(プロフ) - なめらかさん» 優しいお言葉有難うございます。更新早めて行けるよう努力します (2021年10月4日 13時) (
レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
なめらか - 読みやすくて続きが気になって一気に読んでしまいました…！続き楽しみにしてます！ (2021年10月3日 23時) (レス) @page12 id: bcf5f4df92 (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 雪さん» 有難うございます。更新が早くなるよう、頑張っていきます (2021年9月22日 22時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 好きです！続き楽しみに待ってます！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 4b6a02972f (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - 銀狐さん» 温かい言葉を有難うございます！頑張らせていただきます！ (2021年9月14日 17時) (レス) id: 06ba610413 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スノードロップ | 作成日時：2021年9月13日 1時
