君とともに過ごした日々 (ページ9)

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母「あのこは小学生のとき、私が仕事で忙しくてお父さんと二人きりのことが多かったの

。お父さんはずっとお酒を飲んでは（人２）に暴力をふるっていて、あの子は心も体も傷ついた。

なのに、いつも私たちの前では笑顔だったでしょ？

私たちに心配させたくないからって頑張って隠していたみたい。

でも、やっぱり1人で隠しているのは無理で、私にすべてを教えてくれたの。

その時、あの子は初めて人前で泣いたと思う。ずっと我慢して辛かったでしょうに。

それから、私はお父さんと離れて（人２）とふたりで住むことにしたの。

新君たちに何も言わなくていいの？って聞いたらね、「今までの事言って心配させたくないし、私も泣きたくないから、言わない！新とか葵になんにも言わないで引っ越すのは嫌だけど…」って。

引っ越してからはあの子は毎日楽しそうだったの。

友達もできて、遊んだり、一緒に勉強したりしてて。

でも、そんな楽しい日々は長くは続かなかったわ。あれは、（人２）が中学２年生の時ね。

部活帰りにいつも通る暗い道を歩いてたら、飲酒運転の車が歩道を歩いていた（人２）に突っ込んできたの。

飲酒運転をした人はそのままあの子を置いて車を走らせて行っちゃって…もともと人通りが少ないところだったから、気づかれなくてもおかしくなかった。

いつも来るLINEが来なくて心配になって行ってみたら意識のないあの子を見つけて急いで救急車を呼んだわ。

なんとか一命はとりとめたけど、今までの記憶をなくしてしまったの…。

記憶がないことを知ったのはつい最近。

昔のことを思い出そうとすると、ひどい頭痛に襲われるそうなの…

長かったわね。ごめんなさいね。」

俺は、いつのまにか泣いていた。

俺が知らないところで（人２）は苦しんでいたんだ。

なんで、俺はあいつを守ってあげることが出来なかったんだろう。

いつもそばにいたのに…