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細い身体 ページ42

「A、ありがとう」

少しの間があって、アクシアさんが小さな声で呟いた。

「ねぇA、かお見たい」

「もう絶対に怖い思いさせないから、開けてもいい…?」

そう言われ、ギョッとする。
私いま泣きすぎて絶対ひっどい顔してる!

「待って!ダメです!ダメ!!」
「待たない」

そう言われ、ドアが開く。

「ははっ、なんでAがそんな泣いてんの!」
「だって、だって…!」

泣きまくってぐしゃぐしゃになった私を見て、アクシアさんが笑う。

「…本当にありがとね」
「えっ?」
「誰に話していいのかわからなかったから」
「私が、全部聞きます。アクシアさんの辛いところ、もう隠さないでください」

言いながらまたボロボロ泣いてしまう。

「はははっ!もー、Aが俺より泣くから俺が泣けなくなっちゃうじゃん」
「アクシアさんの分も私が泣いてるんです!」
「それは頼もしいなぁ」
「なに笑ってるんですかぁ…!」

なんだか私があやされてるみたいで悔しい。
泣かせてるのはアクシアさんなのに抱きしめられて、私の頭を「よーしよーし」とか言いながら撫でる。

「醜いよなぁ、こんな身体」

諦めたように笑うアクシアさん。

「醜くなんてないです。この痣は、アクシアさんの優しさだから」

この痣は

シェアハウスの仲間に心配をかけないように

未来の誰かの命のために

そんな想いで耐えてきたという証拠だ。

痛々しいけれど、それ以上に美しいと思える。

この細い身体で、どれだけ自分を殺してきたのだろう。どうしてこの人が、全てを背負わなくてはならなかったのだろう。

目の前のアクシアさんは、今にも消えてしまいそうで、どうにか繋ぎ止めたくて、その細い身体に抱きついた。

「アクシアさんにはみんながいます。私もいます。だからもう、全部1人で抱え込もうとしないでください…」
「…うん」

そうやって取り残された世界で、お互いの存在を確かめるように抱きしめあった。

話し合い→←良い人すぎる



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頭華(プロフ) - くらげさん» えへへ…コメントありがとうございます♡ (2021年10月5日 22時) (レス) id: f03d065939 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ヒィ…おそろしい…axくん…まさかここでクローンネタがくるとはって感じです想像の斜め上をいかれた流石すぎる…本日もお疲れ様です (2021年9月28日 17時) (レス) @page41 id: 8ae060a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
頭華(プロフ) - Fineさん» コメントありがとうございます!勝手に脳内で博士の声で再生してしまいました笑 アクシア君の抱えているものがうまく描写できてたらいいな… 頭抱えて飛んで頂けたら幸いです! (2021年9月28日 2時) (レス) id: f03d065939 (このIDを非表示/違反報告)
頭華(プロフ) - くらげさん» ありがとうございます!重たいですよね笑表情筋ぶっ壊れてほしいですねぇ〜 (2021年9月28日 1時) (レス) id: f03d065939 (このIDを非表示/違反報告)
Fine(プロフ) - あぁぁあぁぁあ何ですかこれぇ!?!?!?ア゙ア゙ア゙重くて好き〜こんなの待ってました〜!!!!私の心臓が持ちませーん!いつも更新楽しみにしてます!アクシア……君は一体何を抱えているのかい……それ次第では私は頭抱えて飛ぶぞ……。 (2021年9月26日 16時) (レス) @page37 id: f4f4fca585 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頭華 | 作成日時:2021年9月5日 2時

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