真意 ページ46
『何も、知らないくせに……っ』
脳裏に苦しそうな顔のアクシアさんが浮かぶ。
今はあの時とは違う。
どうしようもなく、助けたいと思う。
｢では、オリバーくん以外のメンバーで明日、訓練所に向かいます。時刻は…｣
細かな作戦の確認をしていく。
レオスさん考案の策は、シンプルだけど威力のあるものだった。これでいじめが終わることを願うしかない。
｢…で終わりです。頭に入れました？｣
｢大丈夫だ！｣
｢把握しました｣
｢オッケオッケー、バレないように上手くやろう｣
｢成功を祈ってますよ、皆さん｣
｢本当はローレンを連れて行きたくは無いんですけどねぇ…解散！！｣
まだローレンさんの参加に愚痴を呟いているレオスさんが、唐突に解散を告げた。
｢では皆さん、おやすみなさい｣
｢おやすみだきみたち！｣
既に寝る支度を整えてあったので、解散すると同時に部屋に戻る。
部屋の前で、小声で挨拶を交わしそれぞれの部屋に入っていった。
ベッドに横になって、明日の事やアクシアさんの事を考える。
国家への反逆。
明日やるのはそういう事だと、レオスさんから釘を刺された。
つまり、もしバレたら懲役刑は免れない。
考えすぎて、目が冴えてしまった。
ベッドに潜り込んでからもう何時間経っただろう。
身体を起こして、ゆっくりドアを開ける。
水を飲もうと思ってリビングに向かうと、明かりがついているのが見えた。
ガチャ
｢ん？あれ、A？どした？｣
そこに居たのは、ローレンさんだった。
｢なんか、眠れなくて…｣
｢はは！オレも同じ｣
そう言ってローレンさんが笑いながら、ソファの隣をポンポンと叩いた。
ここに来い、という事だろうか。
素直に隣に座る。
そういえば、ずっと考えていたことがある。
｢ローレンさん｣
｢んー？｣
どうしてあの日、私を助けてくれたのか。
彼が私に向かって言った｢都合いい｣の真意とは。
｢この為だったんですよね？私を連れてきたの｣
｢…！｣
そう。きっとこの為に私はこの家に連れてこられたのだ。
ローレンさんは目を見開いて私を見つめる。
｢アクシアさんが何か思い詰めていたのを、ローレンさんはずっと知っていたんですよね｣
｢…｣
｢理由を聞いても誰にも頑なに話してくれないアクシアさんを、助けてあげたかったんでしょう？｣
ローレンさんは何も言わない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 628人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頭華(プロフ) - くらげさん» えへへ…コメントありがとうございます♡ (2021年10月5日 22時) (
レス) id: f03d065939 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ヒィ…おそろしい…axくん…まさかここでクローンネタがくるとはって感じです想像の斜め上をいかれた流石すぎる…本日もお疲れ様です (2021年9月28日 17時) (レス) @page41 id: 8ae060a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
頭華(プロフ) - Fineさん» コメントありがとうございます！勝手に脳内で博士の声で再生してしまいました笑 アクシア君の抱えているものがうまく描写できてたらいいな… 頭抱えて飛んで頂けたら幸いです！ (2021年9月28日 2時) (レス) id: f03d065939 (このIDを非表示/違反報告)
頭華(プロフ) - くらげさん» ありがとうございます！重たいですよね笑表情筋ぶっ壊れてほしいですねぇ〜 (2021年9月28日 1時) (レス) id: f03d065939 (このIDを非表示/違反報告)
Fine(プロフ) - あぁぁあぁぁあ何ですかこれぇ！？！？！？ｱﾞｱﾞｱﾞ重くて好き〜こんなの待ってました〜！！！！私の心臓が持ちませーん！いつも更新楽しみにしてます！アクシア……君は一体何を抱えているのかい……それ次第では私は頭抱えて飛ぶぞ……。 (2021年9月26日 16時) (レス) @page37 id: f4f4fca585 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：頭華 | 作成日時：2021年9月5日 2時
