で ページ10
「スタイルが抜群に良いところ、顔が小さいところ、目が大きいところ、顔に似合わず面白いこと言えるところ、あとすごく優しいところでしょ、あとあとー」
「…ありがと、もうええよ…」
A先輩につい「俺の魅力ってなんやろな」ってぼそっと言ったのを聞かれてしまったら、こう返ってきた。
「まだ自信もてない？」
「…まぁ、周りには凄い人しかおらんし」
「確かにね〜、でもそうやって自分を卑下してばかりだとさ、望くんを応援してくれる人にも失礼じゃないかな？」
「え？」
「だって、望くんのファンにとっては、望くんって凄い人な訳じゃない？望くんにとっての藤井さんみたいな存在なんだよ」
「そうなんかな」
俺にとって藤井先輩は、憧れで、とても魅力的な人で、追いつけない存在。だと思ってる。
「まぁ、望くんが仕事の先輩とかじゃないから望くんが藤井さんに抱いてる感情と同じものを持ってるかと言われれば違うかもしれないけど、それでも私含めてファンにとってはさ、凄い憧れなんだよ？自信持たなきゃ！」
やっぱり、俺の周りには凄い人ばかりだ。
目の前にいるA先輩も、凄い人だし尊敬できるし、本当に俺の彼女なのか？と思うくらい遠い存在に感じることもある。
「私、この前望くんが表紙飾ってる雑誌見て、やっぱり違う世界の人なんだなって思った」
「え？」
「私がきっかけになって望くんがモデル始めたのは間違いないけど、たまに考えるの。無理やり誘ったみたいなものだし、本当は嫌だったんじゃないかなって」
「そんなこと」
「それに、ドラマとか出てるのを見ると、すごく遠い存在に感じるの」
「…そうなんか」
「ねえ、望くん。」
そう言うと、A先輩は真剣な顔をして俺の方に向き直った。
「私たち、このままでいいのかな？」
「…は？」
「私、望くんの彼女立派にやれてるかな？望くんは私で良かったのかな？」
「A先輩…？」
「そうだよ、元々私別の学科の先輩でしかなかったのに」
「ねえ」
「もっと素敵な人いるかもしれないし」
「ええ加減にせえ！」
気づいたら立ち上がって、大きな声を出してしまっていた。
「…望くん？」
「…ごめん、しばらく距離おこか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とらい | 作成日時：2019年7月16日 22時
