ざ ページ14
撮影が終わったあと、流星に「早くAちゃんに連絡しとけよ！」と散々釘を刺されたのもあって、直ぐにA先輩に連絡をした。
『この前は怒ってごめん。直接謝りたいから会えへん？』
とメールで送ると、
『いいよ。私の家でいいかな？』
と返ってきたので、今は家に向かっている所。
…コンビニにでも寄って、A先輩が好きな新商品スイーツでも買っていこう。
そう思ってコンビニに入る。
何気なく雑誌コーナーが気になったので見てみると、俺と流星が表紙を飾った雑誌が陳列されていて、少し恥ずかしくなった。
「…シュークリームとわらび餅と、いっぱいあるな、全部買っていくか」
とりあえず目に付いたスイーツ、1つずつ買っていく。
A先輩が好きないちご味のスイーツは、何となくふたつ買う。
「いらっしゃいませー」
レジの人は若い女性。
まぁあんまり気づかれることは無いんだけど、雑誌コーナーの事を思い出して少し帽子を深めに被る。
「…あの、小瀧くんですか？」
「えっ？」
時すでに遅し。
どうやら気づかれてしまったようだ。
「本物だ〜！私、メンズファッション毎月読んでます！あの、表紙おめでとうございます〜！」
このコンビニのお姉さん、自分が仕事中だということを忘れているのか、さっきから全くレジの作業をしないで俺に話しかけてくる。しかも声が大きい。
「ちょ、声大きい…」
と言っても彼女の耳には聞こえてないのか、
「でもこんなにスイーツ買っちゃって大丈夫なんですか〜？ていうか小瀧くんってスイーツ好きなんだ！意外！」
と一人で大声で話している。
彼女の声の大きさに驚いたのか、店長らしき人が出てきて「うるさいよ？どうしたの」と店員さんに話しかけてる。
「あの、この人メンズファッションのモデルさんで！私ファンなんです！」
「違います…」
「絶対違くない！だってあそこに表紙あるし！」
と大声で喚く店員さん。
店長さんはため息をつき、
「ファンとかそういうの仕事に持ち込まないでくれる？ちゃんと仕事できないみたいだから、君明日から来なくていいよ」
と言った。
あからさまに落ち込む店員。
そりゃあ落ち込むだろうけど、こっちは仕事終わりなんですけど…
店長さんが謝ってくれたけど、このコンビニにはもう二度と来れない。
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作者名：とらい | 作成日時：2019年7月16日 22時
