【QK】知りたくなかった。(izko)【BL】

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急に、心拍数が上がった様な気がした。

偶然だったと思いたいけれど、このインタビューが行われたのは一緒に動物園に行った1週間後。
俺は少しでも伊沢さんの中に残れたのだろうか。なんてやっぱり不遜なんだろうか。

高鳴る胸を押さえながら、雑誌を読み進めていく。
好きな食べ物、一度は行ってみたい場所、最近ハマっていること……
その場のノリで答えているとはいえ、根が真面目な伊沢さんだから、どれもしっかりとした理由があって面白い。思わず夢中になって読んでしまう。

(好きなタイプ、か)

別に、その項目を避けていたわけではないが、どうしても意識してしまった。雑誌を捲っていた手が止まる。
彼がどんな人が好きなのか、少しでも近付けたらいいな、なんて。
少し前まであきらめようとしてたくせに、まだ悪あがきする気でいる自分がいることに少し驚きだ。



『──好きなタイプを教えていただいても？』

『そうですね…僕はどちらかというと甘やかしたいタイプなので、少しくらい抜けてるくらいが可愛らしいんじゃないんですかね。あと、僕は趣味がサッカー観戦とかお酒とか、結構自己完結してるんで、それを受け入れてくれる人、というかあんまり詳しくないようだったら俺が教えてあげたりとか……そういう持ちつ持たれつで支えあっていけるような人が好きですかね。』

『──……もしかして、誰か具体的に想像されている方が？』

『えー−……いや、それについてはクイズ王シークレットでお願いします(笑)』



(……なんだそれ。)



そこまで読んで雑誌を閉じる。

こんな他愛もないインタビューなんて、普段ならなんてことなく流せるはずなのに、どうやら、今日の俺の胸には痛いくらい刺さってしまったようだ。




｢……あんた、好きな人ちゃんといるじゃないですか｣




目の前がどんどん滲んで、文字が歪んで読めなくなっていく。
あれ、俺まだコンタクトしたままなのに、なんでだろう。

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