カタコイ≪雪purple≫ＨＢＤ (ページ19)

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＊カレコイページ19

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≪side 照≫

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「岩本君のお陰で助かった、ありがとう」

ってポンポンと俺の腕を叩くとふわりと微笑んで
電車に乗り込んだ。

「あー、座ると寝ちゃいそうだわ」
「駅着いたら起こしたげるから寝たら？」
「んふふ、ありがとう」
って微笑んで、俺にもたれるとそっと目を閉じた。

最寄駅まで、あと５駅。

永遠に着かなきゃ良いのに、なんて本気で思う。

右側に感じる重みに、心臓は否応なく早くなって。
ちょっと苦しくて。だけど、幸せだ。

入社して新人教育係としてついてくれたAさん。
俺より小さいのにパワフルで仕事も出来るし、機転もきくし
何より楽しそうで。

すげーって尊敬から、一緒にいるうちに知る可愛さに
恋に変わるのに時間は掛からなかった。

大学で一緒だったふっかは、違う部署に配属になったけど
ふっかの教育係のシゲさんは、Aさんの同期だって事も
あって一緒に飯食ったり、遊びに行ったりする様になってあっという間に仲良くなって。

Aさんがふっかを目で追ってる事に気づいて。
俺は自分の気持ちに蓋をして応援する事に決めた。

ふっかにフラれたって聞いて、俺だったらって
何度も思ったけど。
Aさんが欲しいのは俺じゃなく、ふっかで。

心底ふっかが羨ましかった。

フラれても尚、好きでいるAさんが落ちるたびに
励まして笑わせて来たのに。

Aさんがお辞儀をするみたいに頭が落ちて
見えたネックレスと紅い痕に、胸が苦しい。

ふっかの牽制に、
心臓を握られたみたいに苦しくて、しんどい。

＊

「Aさん、もうすぐ着くよ」
「ん、ん…うん、」
ゆっくりと顔を上げて俺を見上げて
「ありがとう」

と言ったAさんの頭をそっと撫でた。
これくらい、許して。

改札の向こうに見えたふっかが
並んで歩く俺たちを見て一瞬怪訝な顔をした。

「お迎えが来てますよ」

と、指を差した俺に促される形で前を見て
フワッと笑ったAさんの笑顔は今まで見た、
どんな笑顔よりも綺麗で、幸せそうだった。

「おつかれさーん。飯行こ。」
「あ、うん。あ、岩本君も一緒にいこうよ」
「え？あー、俺、今日は良いや。2人で行っといで。
んじゃ、お疲れ様です。ふっか、また明日」

ってふっかの肩をポンポンと叩いて歩いて行った。

ちゃんと、終わらせるから。
ちゃんと、今日で終わりにするから。

明日からは、ちゃんとただの後輩に戻るから。

だから今日だけは……

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